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列王記1 1 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

列王記1 1

¹ダビデ王はかなり老年になり、いくら布団を掛けても、体は暖まらなかった。

²そこで、側近の者が一つの提案をした。「王様のために一人の若い娘を捜して来て、王様のおそばで世話をさせ、また添い寝をして、体を暖めさせましょう。」

³こうして、彼らはイスラエルの国中を捜して美しい娘を見付け出し、シュネム人アビシャグを王の下に連れて来た。

⁴彼女は非常に美しい娘で、王のそばで世話をして仕えたが、王は彼女と肉体関係を持たなかった。

⁵さて、ハギテから生れたダビデの子アドニヤは、ダビデ王が老衰したのをよいことにして、「私が王になる」と言い出し、野望をもって、戦車、騎兵、および自分の前を走る歩兵五十人を手に入れた。

⁶父ダビデ王は、彼を甘やかして育て、一度もしかったことがなかった。彼はアブシャロムのすぐ下の弟で、大変美男子であった。

⁷彼がツェルヤの子ヨアブと祭司エブヤタルに相談すると、彼らはアドニヤの意見に賛成し、彼を支持した。

⁸しかし、祭司ツァドクとエホヤダの子ベナヤと預言者ナタン、およびシムイとレイ、さらにダビデの勇士たちは、アドニヤに従おうとはしなかった。

⁹アドニヤは、エン・ロゲルの近くにあるゾヘレテの石のそばで、羊、牛、肥えた家畜をいけにえとしてささげ、王子である自分の弟たちと、王の家来であるユダの人々を招いた。

¹⁰しかし、預言者ナタンや、ベナヤ、および勇士たち、それに弟のソロモンは招かなかった。

¹¹ナタンは、ソロモンの母バテ・シェバに、こう勧めた。「王様が何もご存じないうちに、ハギテの子アドニヤが王になったということをお聞きになりませんでしたか。

¹²どうぞ私の申し上げる通りになさって、あなた様とソロモン様の命を救ってください。

¹³今すぐに、王様の所に行って、『王様は、私に、私の子ソロモンが必ず次の王になると誓われたのに、なぜあのアドニヤが王になったのですか』と申し上げるのです。

¹⁴あなた様が王様と話をしているうちに、私も参ります。そして、あなた様のお言葉が確かなことを保証いたしましょう。」

¹⁵そこで、バテ・シェバはすぐ王の寝室へ行った。そこには、王と王に仕えるシュネム人アビシャグがいた。

¹⁶バテ・シェバがひざまずき、丁寧にお辞儀をすると、王は、「何の用だ」と言った。

¹⁷彼女は申し上げた。「王様は以前、主である神様にかけて、『ソロモンが次の王になり、王座に着く』とお誓いになりました。

¹⁸それなのに、今アドニヤが王になりました。王様はご存じないのでしょう。

¹⁹アドニヤは、牛や肥えた家畜や羊を沢山、いけにえとしてささげ、王子たちや祭司エブヤタルやヨアブ司令官を招いているのに、ソロモンだけは招きませんでした。

²⁰王様の次に王となって王座に着くのはだれなのか、イスラエル中の人々が王様の決定に注目しております。

²¹王様がはっきりと仰せられませんと、ソロモンも私も、王様が亡くなられると、とたんに謀反人として捕えられ、処刑されることになってしまいます。」

²²彼女がまだ王と話しているうちに、預言者ナタンが入って来た。

²³側近の者たちが、「預言者ナタンが参りました」と告げると、入って来たナタンは、王の前に出て、地にひれ伏し、礼をした。

²⁴ナタンは言った。「王様は、『アドニヤを次の王にする』と仰せられたのでしょうか。

²⁵実は、あの方が今日下って行って、牛と肥えた家畜と羊を沢山、いけにえとしてささげ、王子様やヨアブ司令官や祭司エブヤタルを招きました。すると、彼らは、『アドニヤ王。万歳』と叫びました。

²⁶しかし、私や祭司ツァドクやエホヤダの子ベナヤや、ソロモン様は招かれませんでした。

²⁷これは、王様のご指示によるものでしょうか。王様は、次の王となる方がだれなのかを、このしもべにまだ仰せられたことはございません。」

²⁸すると、ダビデ王は、「バテ・シェバをここに呼ぶように」と言った。彼女が王の前に来て、そこに立つと、

²⁹王は誓って、こう言った。「余の命をあらゆる災から救い出してくださった主は生きておられる。

³⁰余がイスラエルの主である神様の前で、『その方の子ソロモンが余の次の王となり、王座に着く』と、その方に誓った通り、余は約束しよう。」

³¹バテ・シェバは地にひれ伏し、王に礼をし、「ダビデ王。ありがとうございます。王様がいつまでもお健やかであられますように」と言った。

³²すると、ダビデ王は言った。「祭司ツァドクと預言者ナタンとエホヤダの子ベナヤをここに呼ぶように。」彼らが王の前に出ると、

³³王はこう命じた。「王子ソロモンを余の騾馬に乗せ、家来共々ギホンへ下って行け。

³⁴そこにおいて、祭司ツァドクと預言者ナタンは、ソロモンに油を注ぎ、イスラエルの王とするがよい。それから、角笛を吹き鳴らし、『ソロモン王。万歳』と叫ぶのだ。

³⁵そうしてから、ソロモンがここへ戻って来次第、ソロモンは余に代って王となる。余はソロモンをイスラエルとユダの王に任命する。」

³⁶エホヤダの子ベナヤは、王に答えて、こう言った。「アーメン。それこそ主である神様の仰せです。

³⁷主がダビデ王と共におられたように、ソロモン王とも共におられ、ソロモン王を王様以上に偉大な王としてくださいますように。」

³⁸そこで、祭司ツァドクと預言者ナタンとエホヤダの子ベナヤ、およびケレテ人とペレテ人の兵隊が一緒に行き、彼らはソロモンをダビデ王の騾馬に乗せ、彼らを連れて、ギホンへ行った。

³⁹祭司ツァドクは、天幕の中から油を角に入れて持って来て、ソロモンの頭に注いだ。それから角笛を吹き鳴らすと、民は皆、「ソロモン王。万歳」と叫んだ。

⁴⁰こうして、民はソロモンの後に従ってエルサレムに帰って来た。民は笛を吹きながら、大いに喜んだので、大地も揺れ動くかと思われた。

⁴¹アドニヤと、彼に招かれた者たちは、食事を終えた時、角笛や人々の声を聞いた。ヨアブが、「あの騒々しい声は何だ」と言っている所へ、

⁴²祭司エブヤタルの子ヨナタンがやって来た。アドニヤが、「入るがよい。お前は勇敢な男だから、何か良い知らせを持って来たのだろう」と言うと、

⁴³ヨナタンはそれを打ち消した。「いいえ、そうではございません。ダビデ王は、ソロモン様を王となさいました。

⁴⁴ダビデ王は、祭司ツァドクと預言者ナタンとエホヤダの子ベナヤ、およびケレテ人、ペレテ人の兵隊をソロモン様に付けて送り出しました。彼らはソロモン様を騾馬に乗せ、

⁴⁵祭司ツァドクと預言者ナタンがギホンでソロモン様の頭に油を注いで、新しい王にいたしました。あの騒々しい叫び声は、民衆が喜んでいる声でございます。

⁴⁶しかも、ソロモン王は、すでに王座に着いておられます。

⁴⁷それに、王の側近たちが来て、『神様が、ソロモン王をダビデ王以上に偉大な王としてくださいますように』と言って、ダビデ王に祝福の言葉を述べました。すると、ダビデ王は、寝台で休まれながら、主を礼拝なさいました。

⁴⁸また、ダビデ王は、こうも仰せられました。『今日、次の王をお立てくださったイスラエルの主である神様を、心からほめたたえます。』」

⁴⁹すると、アドニヤに招かれて来ていた者たちは、真青になり、逃げるようにして帰って行った。

⁵⁰アドニヤもソロモンを恐れて、祭壇の所に行き、祭壇の角にしがみついた。

⁵¹その時、ソロモンに、次のように告げる者があった。「アドニヤはソロモン王を恐れ、祭壇の角にしがみつき、『ソロモン王が、このしもべを刀で殺さないと誓ってくださるように』と言っています。」

⁵²すると、ソロモンは言った。「彼が立派な人物であることが分れば、殺されることはない。しかし、彼が悪を意図していたのであれば、死ななければならない。」

⁵³それから、ソロモンは人をやって、アドニヤを祭壇から下ろさせた。彼がソロモンの前に出て、一礼すると、ソロモンは彼を赦し、「家に帰るがよい」と言っただけであった。