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列王記1 21 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

列王記1 21

¹それからしばらくして、一つの事件があった。それはイズレエル人ナボテのぶどう畑についてのことであった。彼はサマリヤのアハブ王の宮殿の近くに、そのぶどう畑を持っていた。

²アハブ王はナボテにこう言った。「その方のぶどう畑を余に譲ってほしい。あれは宮殿のすぐ隣にあるので、そこを野菜畑にしたいと思っている。その代り、あれよりもさらに良いぶどう畑をやってもよいし、お金が欲しければ銀で代価を支払ってもよいぞ。」

³ナボテは王に答えた。「先祖に与えられた定住地を売り渡すことは、主がお許しになりません。」

⁴それを聞くと、アハブ王は不機嫌になり、ひどく腹を立て、王宮に戻った。ナボテに断られたためである。彼はベッドに横になったが、そっぽを向いたまま、食事も取ろうとしなかった。

⁵王妃イゼベルは、寝室に入って来て、こう言った。「王様は、どうしてそんなに不機嫌になって、食事もなさらないのですか。」

⁶そこで、アハブは一部始終を彼女に話した。「余がイズレエル人ナボテに、『その方のぶどう畑を譲ってはくれぬか。お金が欲しければ銀で支払うし、ほかの畑が欲しければほかのぶどう畑を与える』と言ったのに、『私のぶどう畑を売ることはできません』とぬかしおった。」

⁷イゼベルはそれを聞くと、こう言った。「王様は、イスラエルの王権を握っていらっしゃるのではありませんか。これしきのことでくよくよなさるなんて、王様らしくもございません。さあ、元気をお出しになって、お食事をなさってください。この私がきっとナボテのぶどう畑を手に入れて差し上げましょう。」

⁸イゼベルはアハブ王の名前で手紙をしたため、王の印を押し、ナボテの町の長老たちと、指導的な人々に、その手紙を送った。

⁹その手紙の内容はこうであった。「ナボテの罪のために下される神の裁きがほかの人々に及ばないように、断食を布告し、ナボテを家から引き出し、皆の前に座らせなさい。

¹⁰ナボテの前には、証人として二人の者を座らせなさい。この二人の者たちに、『お前は神様と王様を呪った』として証言させるようにしなさい。そうしてから、ナボテを町の外に引き出し、石打ちの刑に処しなさい。」

¹¹そこで、この手紙を受け取った者たちは、その手紙の通りにした。

¹²まず断食を布告し、ナボテを家から引き出し、皆の前に座らせた。

¹³そこに、二人の悪人がやって来て、ナボテの前に座った。彼らは、人々の前で、ナボテが神と王を呪ったと証言した。そこで、人々はナボテを町の外に引き出し、石打ちの刑に処した。

¹⁴こうして、イズレエルの町の指導者たちは、イゼベルに、「ナボテを石打ちの刑に処しました」と報告した。

¹⁵イゼベルは、ナボテが石打ちの刑に処せられたことを聞くと、すぐアハブ王に言った。「王様。ナボテは死にました。さあ、いらしてください。ナボテが売ることを拒んだあのぶどう畑は、もう王様のものでございます。」

¹⁶アハブ王は、ナボテが死んだと聞くと、すぐ立ち上がり、ナボテのぶどう畑を自分のものにしようとして、そこへ行った。

¹⁷その時、ティシュベ人エリヤに対し、主が次のように仰せられた。

¹⁸「さあ、サマリヤにいるイスラエルのアハブ王の所へ行きなさい。アハブはナボテのぶどう畑を自分のものにしようとして、そこに来ている。

¹⁹彼にこう言いなさい。『主はこう仰せられる。よくも人殺しまでして、ぶどう畑を取り上げたものだ。この上は、ナボテが殺されたように無惨な殺され方をし、犬がその血をなめる。』」

²⁰アハブ王がエリヤに、「嫌なやつだ。よくも余を見付けたな」と言うと、エリヤは答えた。「王様が主に対して罪を犯したので、私は見付けることができました。

²¹主はこう仰せられる。『今わたしは災をもたらす。アハブの子孫は断絶し、

²²その一族はネバテの子ヤロブアムやアヒヤの子バシャの場合と同じように、断絶する。それは、アハブがイスラエルの民に偶像礼拝を許したため、わたしの裁きを引き起したのである。

²³またイゼベルも、ナボテが殺されたように無惨な死に方をし、犬がその死骸を食べる。

²⁴アハブの一族は皆、このような無惨な死に方をする。』」

²⁵アハブ王のように、主に対して罪を犯す者はほかにいなかった。それは、王妃イゼベルがそそのかしたからである。

²⁶アハブ王は、主がイスラエル人の前から追い払われたエモリ人のまねをして偶像礼拝をし、主の御心にかなわないことを行った。

²⁷アハブ王は、エリヤの語った言葉を聞くと、すぐ自分の着ていた上着を裂き、ぼろを身にまとい、断食をし、一時的ではあったが、へりくだった生活をした。

²⁸それをご覧になった主は、ティシュベ人エリヤに対し、こう仰せられた。

²⁹「アハブがわたしの前にへりくだっているのを見たか。そこで、わたしは彼の生きている間は裁きを下すまい。しかし、彼の子供の時代に裁きを下そう。」