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エステル記 1 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

エステル記 1

¹インドからエチオピヤまで百二十七州に及ぶ地域を治めていたペルシャのアハシュエロス王(クセルクセス王)の時代のことであった。

²王がシュシャンの城でその王座に着いていた。

³治世の第三年に、王は貴族や高官たちのために、盛大な宴会を催した。それには、ペルシャとメディヤの軍司令官や王子や各州の州知事たちも出席していた。

⁴こうして、王は半年もの間、毎日帝国の富と王威の輝きを誇示していた。

⁵それが終ると、王はその城にいたすべての者に、一週間、王宮の庭園で、宴会を催した。

⁶そこでも飾り立ては一様でなく、白や青色の布が、白や紫色の細ひもで大理石の柱の銀の輪に結び付けられ、また、金と銀で出来た長椅子が、緑色石、白大理石、真珠貝、黒大理石のモザイクの床の上に置かれていた。

⁷酒は金の杯で振舞われ、その杯はそれぞれ違っており、王は度量の大きいところを示し、王室の酒を惜しげもなく振舞った。

⁸酒を飲むことは全く自由で、だれも無理矢理に飲まされることはなかった。王が役人に、それぞれ好きなようにさせておけと命じたからである。

⁹王妃ワシュティも、アハシュエロス王の王宮で、婦人たちのために宴会を催した。

¹⁰七日目に、王は酒の勢いで調子に乗り、王に仕える七人の役人メフマン、ビゼタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタル、カルカスに対して、

¹¹王妃ワシュティに冠をかぶらせ、王の前に連れて来るようにと命じた。それは、彼女が美しかったので、その美しさを民と高官たちに見せたかったのである。

¹²しかし、王妃ワシュティはその命令に応じようとしなかったので、王は非常に立腹した。

¹³そこで、王は法律にくわしい専門家に相談した。王は、いつでもこのように法律に通じている側近に相談することにしていた。

¹⁴王の側近としては、ペルシャとメディヤの七人の貴族たち、カルシェナ、シェタル、アデマタ、タルシシュ、メレス、マルセナ、メムカンがおり、彼らは王とじかに話のできる高官たちであった。

¹⁵王は尋ねた。「王妃ワシュティは、朕の命令に従わなかったが、その件について彼女をどうすべきか、法律ではどうなっているか。」

¹⁶そこで、メムカンは自分の意見を申し述べた。「王妃は、陛下お一人だけに背いたのではございません。あらゆる高官、全国民に対しても間違ったことをいたしました。

¹⁷と申しますのは、王妃のしたことが全国に知れ渡りますと、『王のご命令に王妃は従わなかった』と言って、帝国中の女たちが夫の言うことに従わないようになりましょう。

¹⁸王妃のしたことが分りましたら、今日にでも、帝国中の高官夫人たちは、夫に従わなくなりましょう。

¹⁹もしよろしければ勅令をお出しになり、これをペルシャとメディヤの法律の中に書き入れて、変更できないようにし、ワシュティ王妃を追放し、その代りにもっと優れた婦人を王妃となさったらいかがかと存じます。

²⁰陛下の出される勅令が帝国中その隅々にまで行き渡りますと、女たちはだれでも皆夫を尊敬するようになることと存じます。」

²¹この進言は、王と高官たちの賛同するところとなったので、王はその通りにした。

²²そこで、王は全州に文書を送った。それぞれ州ごとに使われる言葉で書かれたものであり、そこには、男子が一家の主人となること、また、自分たちの言葉を必ず使うことが命じられていた。