Read 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 エステル記 2 Bible Online

エステル記 2 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

エステル記 2

¹この事件の後、アハシュエロス王の怒りが収まると、王はワシュティのこと、彼女のしたこと、また彼女に対して決定したことなどを思い返していた。

²そこで、王の側近として仕える若い者たちは進言した。「陛下のために、王妃としてふさわしい未婚の美しい女性をお捜しいたしましょう。

³陛下は、帝国の全州にそのための役人を任命し、美しい未婚の女性を、シュシャンの城の婦人の部屋に集めさせ、彼女たちの監督官であるヘガイの下で、化粧品などをお与えください。

⁴そして、陛下のお気に召す女性をワシュティの代りに王妃となさってはいかがでしょうか。」王はこの進言を受け入れ、それを実行に移した。

⁵シュシャンの城には、一人のユダヤ人がいた。モルデカイと言って、ベニヤミン人で、ヤイルの子であった。ヤイルはシムイの子で、シムイはキシュの子であった。

⁶キシュは、バビロンのネブカデネザル王がバビロンへ連行して行ったユダのエコヌヤ王と一緒にエルサレムからバビロンへ連れて行かれた人であった。

⁷モルデカイは、いとこのハダサ、またの名をエステルという若くて美しい娘を育てていた。彼女の両親が死んだ時、モルデカイは彼女を養女として引き取った。

⁸王の命令によって、多くの未婚の女性がシュシャンの城に集められ、ヘガイの監督の下に置かれた時、エステルもその中にいた。

⁹彼女は、ヘガイの気に入り、好意を得た。ヘガイは彼女のために化粧品からごちそうに至るまで、何くれとなく面倒を見、彼女をその侍女たちと一緒に最上の部屋に移すほどの心配りをした。

¹⁰エステルは自分の素姓については、だれにも明かさなかった。モルデカイが明かしてはならないと、きつく言っていたからである。

¹¹モルデカイは、毎日彼女の部屋の前の庭を歩いては、エステルの安否を尋ね、これから先どうなるのか案じていた。

¹²そこに集められた女性たちは、規則に従い、一年たってから、一人ずつ順番にアハシュエロス王の所に行くことになっていた。それは、準備の期間として、六か月間は没薬の油で、次の六か月間は香料と女性用化粧品で化粧をするためであった。

¹³王の所に行く女性には、望む物は何でも与えられ、それを持って王宮に行った。

¹⁴彼女たちが王の所に行くのは夕方で、帰って来るのは朝であった。帰って来た時は、別の部屋に行き、そこはそばめたちの部屋で、その監督官はシャアシュガズであった。そこにいる女性は、王の指名が無い限り、二度と王の所に行くことはできなかった。

¹⁵さて、モルデカイが引き取って育てた、叔父アビハイルの娘エステルに、いよいよ王の所に入って行く順番が回って来た時、監督官ヘガイの勧めた物以外、何も彼女は持って行かなかった。こうして、エステルは、すべての人から好意を持たれていた。

¹⁶エステルがアハシュエロス王の王宮に召されたのは、王の治世第七年の十月(今日の十二月か一月に当る)であった。

¹⁷王は、ほかのどの女よりも彼女を愛したので、彼女は王の好意を受けた。王はついに王妃の冠を彼女にかぶらせ、ワシュティの代りに王妃とした。

¹⁸それから、王は全高官を集めて、エステルのために大宴会を催し、その日を祝日として休ませ、王は気前よく贈物をばらまいた。

¹⁹後に、王がまた美人コンテストをした時、モルデカイは王の門の所で門衛をしていた。

²⁰エステルは、モルデカイに言われた通り、まだ自分の素姓を明かしてはいなかった。エステルは今でもモルデカイの言うことを守っていた。

²¹そのころ、モルデカイが王の門の所で門衛をしていると、入口で同じく門衛をしている二人の宦官ビグタンとテレシュが、アハシュエロス王殺害の陰謀を持っていることが分った。

²²モルデカイは、早速王妃エステルに知らせた。エステルは、それをモルデカイの名前で王に告げた。

²³このことが調査され、その事実が明らかになると、その二人は木に掛けて処刑された。このことは、王の年代記に記録された。