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伝道者の書（人生論） 2 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

伝道者の書（人生論） 2

¹そこで、私はこう思った。「今度は快楽だ。存分楽しんでみるのだ。」しかし、これもやってみれば、むなしかった。

²笑いころげてみたところで、ばかみたいだ。快楽なんて、一体何なのだ。

³精神的なものは知恵によって満足し、体は酒でと考え、本当のものが分るまで、これでいこうと考えた。

⁴私は大きな事業に手を出し、家を建て、ぶどう畑や、

⁵庭園を造り、そこに果樹園を設け、

⁶木の茂った森を潤すために池も造った。

⁷私の家には、元々、奴隷がいたが、さらに多くの男女の奴隷を手に入れた。また、エルサレム中のだれよりも多くの家畜を飼い、

⁸金や銀や宝も世界中から集めた。男女の歌手を集め、その上、多くのそばめを手に入れた。

⁹こうして、私はそれまでだれもやらなかったことをやってみた。しかも、快楽を追求する一方、知恵を求めることも忘れなかった。

¹⁰私は快楽のためなら何でもした。労苦さえも惜しまなかった。

¹¹しかし、どうであろうか。手に入れてしまった後、私がしてきたあらゆる事業と、そのためにした労苦を考えてみると、全くむなしいとしか言いようがない。この地上には、益になるものなどないのである。

¹²そこで、私は振り返って、知恵と愚かさを比較してみた。どんな王が立っても、同じことをするに過ぎない。

¹³確かに光が闇より良いように、知恵は愚かさより、はるかに優れている。

¹⁴知恵のある人は、先を見、物事を正しく判断して行動することができるが、愚かな者は、先のことが分らない。しかし、どちらも最後は死んでしまう。

¹⁵そこで、私はこう思った。「私も愚かな者と同じように、結局は死んでそれでおしまいだとしたら、私にとって知恵は一体何の役に立つのだろう。これもまたむなしいことではないか。」

¹⁶確かに、知恵のある人も、愚かな者も、死んでそれでおしまいなら同じことだ。日がたてば、みな忘れ去られてしまう。どちらも最後は死んでしまうのだ。

¹⁷こうして私は、生きているのが嫌になった。この地上で行われることはすべて、むなしいと思うようになった。

¹⁸私は、この地上で労したすべてのことを憎んだ。それは、だれかに自分のしたことを残すことになるからである。

¹⁹その人が知恵のある人であればよいのだが、愚かな者であるかもしれない。そのようなことを考えると、これもまたむなしい。

²⁰私は、この地上で労したすべてのことを考えてみて、絶望した。

²¹いくら人が知恵と知識と技術を尽して労しても、その労苦の価値を知らない者に、それを残していかなければならない。これもまたむなしく、不幸なことだ。

²²実に、この地上で労したすべての労苦と思い煩いが何の役に立つというのか。

²³人の一生は苦しく、また悲しい。心は夜の間も休むことがない。これもまたむなしいことである。

²⁴そこで、人は食べたり飲んだりすることと、自分の仕事に満足を見出すより仕方がないと思うようになった。これも、神の御手から来るものだと思う。

²⁵確かに、神無しで、だれが食べ、だれが楽しむことができようか。

²⁶神は、御心にかなう人には知恵と知識と幸福を与え、罪人には、働かせて金持にし、その富を御心にかなった人に与えられる。これもまた、全くむなしいことである。