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民数記（荒野放浪記） 16 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

民数記（荒野放浪記） 16

¹ある日のこと、レビの子ケハテの孫に当り、またイツハルの子であるコラは、ルベンの子孫に当る、エリアブの子ダタンとアビラム、およびペレテの子オンと共謀し、

²イスラエルの民の指導者として正式に選び出されていた二百五十人の有力な人たちを抱き込んで、モーセに反対させた。

³彼らは、モーセとアロンに向って、こんなことを言った。「あなたがたは、分を越えたことをしてはいませんか。イスラエルの民は、全員聖別されているはずですがね。主がおいでになるのに、どうして、あなたがただけが、われわれの上に立って、指導者と祭司の地位に着くんですか。」

⁴これを聞くと、モーセはその場にひれ伏し、彼らの罪のために、とりなしの祈りをささげた。

⁵それから、立ち上がると、コラとその仲間の者たちにこう言い放った。「明日の朝、主はだれがご自分の選んだ指導者で、だれが聖く、祭司の務めをなすべきかをお示しくださる。

⁶コラとその仲間のすべての者たちは、火皿を用意し、

⁷明日、それに火を入れ、その上に香を盛りなさい。そこで主がはっきりさせてくださる。レビ族の者たちこそ、分を越えたことを言っている。」

⁸モーセはさらにコラに語った。「レビ族の者たち。よく聞くがよい。

⁹イスラエルの神であるお方が、あなたがたをイスラエルの民の中から、特別に主の天幕で奉仕をするために、また礼拝の時に必要な奉仕をするために、選び出してくださった。それなのに、なお不足でもあるのか。

¹⁰主がこのように尊い奉仕の業を与えてくださったのに、今度は祭司の職を要求している。

¹¹それは、主に反逆しているのだ。アロンが何をしたと言うのか。彼に不平を言っているではないか。」

¹²モーセは使いをやって、エリアブの子ダタンとアビラムを呼び寄せようとしたが、彼らは、それを断った。「われわれは行かない。

¹³あなたは、エジプトの乳と蜜の流れる地からわれわれを連れ出し、この荒野でわれわれを死なせようとしている。それだけではない。われわれの上に立って、われわれを支配し、君臨している。

¹⁴しかも、あなたは、われわれを乳と蜜の流れる地に連れて行きもしない。畑やぶどう畑をわれわれのものとしてくれたわけでもない。ごまかすのもいいかげんにしてくれ。われわれは行くもんか。」

¹⁵これを聞くと、モーセは激怒し、主に申し上げた。「どうか、彼らのささげ物を受け入れないでください。私は、彼らから、ろば一頭たりとも取ったことはなく、彼らを傷つけたこともございません。」

¹⁶それから、モーセはコラに言った。「コラとその仲間のすべての者たち、およびアロンは、明日主のもとに来なさい。

¹⁷それぞれ自分の火皿を用意し、その火皿で香をたき、それを主のもとに持って来なさい。二百五十人の者たちも、コラも、またアロンも皆、持って来なさい。」

¹⁸彼らはめいめい、自分の火皿を用意し、それに火を入れ、そこで香をたいた。そして、モーセとアロンは、一緒に会見の天幕の入口に立った。

¹⁹すると、コラはイスラエルの民全員を会見の天幕の入口に集めて、二人に反対させようとした。その時、主の栄光がそこにいる全員に示された。

²⁰そして、主はモーセとアロンに仰せられた。

²¹「あなたがた二人は、その連中から離れなさい。わたしは彼らをたちどころに滅ぼす。」

²²二人はその場にひれ伏して、彼らの罪のために、とりなしの祈りをささげた。「神様。すべて生きているものに命をお与えになる神様。一人でも罪を犯せば、全員を罰せられるのでしょうか。」

²³主はモーセに仰せられた。

²⁴「コラとダタンとアビラムと二百五十人の者以外の者たちは、そこから離れるように言いなさい。」

²⁵モーセは立ち、イスラエルの長老たちを従え、ダタンとアビラムの所へ行き、

²⁶民に語った。「さあ、このよこしまな連中の天幕から離れなさい。彼らのものに触れてはならない。あなたがたも滅ぼされるといけないから。」

²⁷そこで、人々はコラとダタンとアビラムの住いの近くから離れた。ダタンとアビラムは、その妻子、幼子たちと一緒に出て来て、自分たちの天幕の入口に立った。

²⁸モーセは言った。「これから起ることを見なさい。そうすれば、主が私を遣わされたことと、いろいろなことをさせたこと、それだけでなく、私が自分の思いでやっているのでないということが分るはずだ。

²⁹もしもこの者たちが普通の死に方で死ぬのであれば、主が私を遣わしたと思わなくてもよろしい。

³⁰しかし、主がこの者たちに特別なことをし、地が裂け、彼らを飲み込んで彼らが死ぬのであれば、彼らが主をばかにしたがために罰を受けたのだと思い知りなさい。」

³¹モーセが彼らに語り終ると、すぐ大地が裂け、

³²コラやその仲間の者たち、およびその家族と持物をことごとく飲み尽し、

³³彼らは生きながらにして殺された。

³⁴これを見ていたイスラエルの民は、皆彼らの叫びを聞いて逃げ出し、自分たちも殺されるのではないかと思って恐れた。

³⁵また、主のもとから火が降り、香をたいていた二百五十人の者たちを焼き尽した。

³⁶主はモーセに仰せられた。

³⁷「祭司アロンの子エルアザルに命じて、その燃える火の中から、火皿を取り出し、火を遠くにまき散らすようにさせなさい。それは、聖別されている。

³⁸また、罪を犯して死んだ者たちの火皿は、これを打ちたたいて延べ板にし、祭壇のための覆いとして使いなさい。これは、聖別されている。こうしておけば、祭壇の覆いを見る度に、あの罪の出来事を思い出し、教訓となるだろう。」

³⁹そこで、祭司エルアザルは、焼き殺された者たちがささげた青銅の火皿を持って来て、それを打ちたたいて延ばし、祭壇の覆いとし、

⁴⁰イスラエルの民のためにあの罪の出来事を思い出す実物教育とした。アロンの子孫以外の者が祭司のまねをして、コラやその仲間の者たちのような目に遭わないようにということである。それは、主がモーセを通してエルアザルに言われた通りである。

⁴¹その翌日になると、もうイスラエルの民がモーセとアロンに向ってつぶやき始めていた。「あなたがたは神の民を殺してしまった。」

⁴²そうしている間にも、二人が会見の天幕の方を振り向くと、主の雲が天幕に掛り、主が栄光のうちに現れた。

⁴³モーセとアロンが会見の天幕の所に行くと、

⁴⁴主はモーセに仰せられた。

⁴⁵「あなたがたは、彼らから離れなさい。わたしは彼らを滅ぼそう。」二人はすぐにひれ伏し、彼らの罪のために、とりなしの祈りをささげた。

⁴⁶モーセはアロンに言った。「さあ火皿を持って来て、祭壇の火をそれに入れ、そこで香をたきなさい。そして、急いで人々の所へ行って、彼らの罪の償いをしなさい。主が激しく怒られ、神の裁きの伝染病がもう始まっている。」

⁴⁷アロンはモーセの言った通りにし、火皿を持って、人々の中に走って行ったが、もう裁きは始まっていた。そこで彼は香をたいて、民の罪の償いをした。

⁴⁸彼が死んだ者とまだ生きている者との間に立った時、ようやく伝染病は収まった。

⁴⁹コラの事件で死んだ者とは別に、後の裁きによって死んだ者の数は、なんと一万四千七百人もいた。

⁵⁰こうして、伝染病が収まると、アロンは会見の天幕の入口のモーセの所に帰った。