Read 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 マタイによるイエス・キリストの福音 12 Bible Online

マタイによるイエス・キリストの福音 12 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

マタイによるイエス・キリストの福音 12

¹そのころ、イエスは、安息日に麦畑を通っておられた。弟子たちは空腹になったので、穂を摘んで食べ始めた。

²すると、パリサイ派の人たちがそれを見て、イエスに言った。「ほら、あなたの弟子たちは、安息日にしてはならないと決められているわれわれの戒律を破っていますよ。」

³そこで、イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、旧約聖書の中に、ダビデと、その供の者たちが、空腹になった時、どういうことをしたと書いてあるか、読んだことがないのですか。

⁴彼らは、神の家に入って、祭司以外にはだれも食べることを許されていない供えのパンを食べています。それは、空腹であったから許されたのです。

⁵また、祭司たちは安息日に神殿の中で働いていても、安息日の律法を破ったことにはならないということを、律法で読んだことがないのですか。

⁶はっきり言いますが、ここには神殿よりももっと偉大な者がいます。

⁷また、『わたしはあわれみを好んで、いけにえを好まない』と神様が言っておられることがどういう意味か、あなたがたが知っていたら、罪の無い者たちを、咎めはしなかったでしょう。

⁸わたしこそ、安息日の主にほかなりません。」

⁹イエスはそこを去って、彼らの会堂に入られた。

¹⁰するとその時、片手の不自由な人がいた。人々はイエスを訴えるために、「安息日に人を治すことは正しいことでしょうか」と言って、彼に尋ねた。

¹¹イエスは彼らに言われた。「あなたがたのうち、だれかが一匹の羊を持っていて、その羊がもし安息日に穴の中に落ちてしまったとしたら、それを引き上げてやらないでしょうか。

¹²しかし、人間は羊よりもはるかに値打のあるものです。ですから、安息日に良いことをすることは、正しいのです。」

¹³その時、イエスはその人に、「手を伸しなさい」と言われた。彼が手を伸すと、手は治って、もう一方の手と同じようになった。

¹⁴パリサイ派の人たちは出て行って、イエスを殺すことを相談した。

¹⁵イエスはそれを知って、そこから去って行かれた。すると、多くの人々が彼に付いて来たので、彼らを皆治された。

¹⁶そして、ご自分のことをほかの人に言わないようにと、彼らを戒められた。

¹⁷これは、その昔、主が預言者イザヤを通して語られた旧約の預言の成就であった。

¹⁸「さあ、わたしが選んだわたしに仕える者、わたしの心にかなった、わたしの愛する者。わたしは彼の上にわたしの霊を置く。彼は、異邦人に正義を宣べ伝える。

¹⁹彼は争わず、また叫ばず、大路でその声を聞く者はいない。

²⁰彼が正義を勝利に至らせるまでは、弱い者を痛め付けることがなく、小さな者も見過しにすることがない。

²¹異邦人は彼に望みを掛ける。」

²²その時、悪霊につかれた盲目の聾唖者がイエスの所へ連れて来られた。イエスは、聾唖者がものを言い、また見えるように、彼を治された。

²³すると、群衆は皆驚いて、言った。「この人は、ダビデの子孫から出ると約束されていたあの救い主ではないだろうか。」

²⁴これを聞いたパリサイ派の人たちは言った。「この人は、ただ悪霊どもの頭の力で、悪霊を追い出しているだけだ。」

²⁵イエスは、彼らの思いを見抜いて言われた。「内輪争いをする国は、どんな国でも滅び、内輪争いをする町でも家でも、立ち行きません。

²⁶もし悪魔が同じ悪霊を追い出したのだとすれば、それは内輪争いをしたわけですから、どうしてその国は立ち行くでしょう。

²⁷また、もしわたしが悪霊どもの頭によって、悪霊を追い出したのだとしたら、あなたがたの仲間も、やはり悪霊によって追い出すことになるのですか。そんなことを言えば、あなたがたの仲間が、あなたがたをあざ笑うことになるでしょう。

²⁸けれども、わたしが神の御霊によって、悪霊どもを追い出しているのなら、神の国はもうあなたがたの所に来ているのです。

²⁹また、だれでも、強い者を縛らないなら、どうして強い者の家に入って、家財を奪うことができるでしょうか。そのようにして初めて、その家を奪うことができるのです。

³⁰わたしの味方でない者はわたしに反対し、わたしと一緒に集めない者は散らす者で、神の国に中立などありえません。

³¹こういうわけで、はっきり言いますが、すべての罪と神様に対する冒涜は、悔い改めれば赦していただけますが、なおも故意に、聖霊に逆らうことは、決して赦されません。

³²また、わたしに対して言い逆らう者は、悔い改めれば赦していただけますが、聖霊に逆らうことを言う者は、永久に赦されません。

³³また、木が立派なら、その実も立派ですし、木が腐っていたら、その実も腐っています。木はその実によって分るからです。

³⁴まむしのすえども。お前たちは悪い者であるのに、どうして良いことを語ることができますか。口は、心にあふれてくることを話します。

³⁵良い人は、良い心から良いことを語り、悪い人は、悪い心から悪いことを語ります。

³⁶はっきり言っておきますが、だれでも、その人の語るむなしい言葉は、それがどんなことでも、皆、裁きの日には、それについて言い開きをしなければなりません。

³⁷それは、だれでも、自分の言葉によって正しいとされるか、罪に定められるかが決るからです。」

³⁸その時、律法学者とパリサイ派の中のある者たちが、イエスに答えて言った。「先生。私たちは、あなたから印を見せていただきたいのです。」

³⁹すると、イエスは彼らに答えて言われた。「邪悪で不道徳な時代の人々は、いつでも印を求めています。しかし、預言者ヨナの印のほかには、何の印も与えられません。

⁴⁰ヨナの印というのは、ヨナが足掛け三日間、大きな海の生き物の腹の中にいたということですが、わたしも足掛け三日間、地の中にいるようになります。

⁴¹ニネベの人々が、今の時代の人々と一緒に、裁きの座に立って、この人たちを罪に定めるようになります。それは、ニネベの人々が、ヨナの説教で悔い改めたからです。しかしここには、ヨナよりも、もっと偉大な者がいます。

⁴²また、南の国シバの女王が、裁きの時には、今の時代の人々と一緒に、裁きの座に立って、この人たちを罪に定めるようになります。それは、シバの女王がソロモンの知恵を聞くために、わざわざ遠くからやって来たからです。しかしここには、ソロモンよりも、もっと偉大な者がいます。

⁴³あなたがたは、ちょうどこのような者ではありませんか。汚れた霊が人から出て行くと、休み場を求めて、水の無い所をさ迷いますが、見付かりません。

⁴⁴その時、彼らは言います。『出て来た自分の家に帰ろう。』帰って見ると、空家になっており、掃除がきちんとされていて、片付いていました。

⁴⁵そこで、出掛けて行って、自分よりもっと強いほかの七つの霊を連れて来て、中に入り、そこに住み込んでしまいます。すると、その人の終りは、初めよりも、さらに悪くなってしまいます。邪悪なこの時代も、ちょうどこれと同じことになります。」

⁴⁶イエスがまだ群衆に話をしておられると、そこへイエスの母と弟たちがやって来て、イエスに何か話をしようとして、外に立っていた。

⁴⁷すると、ある人がイエスに言った。「あなたのお母さんと弟さんたちが、あなたと話をしに外に来ていますよ。」

⁴⁸イエスはその人に答えて言われた。「わたしの母とはだれでしょう。わたしの兄弟とはだれでしょう。」

⁴⁹それから、弟子たちの方に手を差し伸して言われた。「ほら、ここにわたしの母、わたしの兄弟がいます。

⁵⁰天のお父様の御心を行う人は、だれでも、わたしの兄弟ですし、また、お母様なのです。」