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ルカによるイエス・キリストの福音 11 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

ルカによるイエス・キリストの福音 11

¹イエスがある所で祈っておられると、その祈りが終った時、弟子の一人がイエスに言った。「主イエス様。バプテスマのヨハネがその弟子たちに祈りを教えたように、私たちにもどのように祈ったらよいのか、教えてください。」

²そこで、イエスは彼らに言われた。「このように祈ったらよいでしょう。『お父様。あなたのお名前があがめられますように。あなたの御国が来ますように。

³私たちに毎日必要なものを、今日もお与えください。

⁴私たちに負い目のある人々を私たちが赦しますから、私たちの罪も赦してください。私たちを誘惑に遭わせないでください。』」

⁵また、イエスはこう言われた。「あなたがたのうち、だれかに友達がいるとして、その人の所へ真夜中に行き、『すみませんが、パンを三つ貸してくださいませんか。

⁶友達が旅先から私の所へ来たのですが、出すものが何も無いのです』と言ったとしましょう。

⁷その時、その人は家の中からこう言わないでしょうか。『面倒を掛けないでください。もう戸締りもしてしまっていますし、子供たちも私ももう寝てしまっています。もう起きて何かを上げることはできません。』

⁸確かにその通りです。友情だけで人を動かすことはできません。しかし、切実に求め続けるなら、その人はついには動かされて、必要な物を出して来てくれるでしょう。

⁹よく言っておきますが、求め続けなさい。そうすれば与えられます。捜し続けなさい。そうすれば見付かります。門をたたき続けなさい。そうすればあけてもらえます。

¹⁰だれでも、求める人は与えられ、捜す人は見付け出し、門をたたく人はあけてもらえます。

¹¹あなたがたでもそうでしょう。自分の子供が魚を欲しがっているのに、蛇などを与えますか。

¹²また、卵を欲しがっているのに、さそりなどを与えますか。

¹³人間でも、自分の子供にはおかしなものを与えることがないのですから、まして、天のお父様が、求め続けている人々に、神様のために力強い働きをすることのできる聖霊を下さらないことがあるでしょうか。」

¹⁴イエスは悪霊を追い出しておられた。それは、聾唖の霊であった。悪霊が出て行くと、聾唖者がものを言い始めたので、群衆は驚いた。

¹⁵その中のある人々は、「この人は、ただ悪霊どもの頭の力で、悪霊を追い出しているだけだ」と言った。

¹⁶また、ほかの人々は、イエスを試そうとして、天からの印を求めた。

¹⁷しかし、イエスは彼らの心の中を見抜いて、こう言われた。「内輪争いをする国は、どんな国でも滅び、内輪争いをする家は立ち行きません。

¹⁸もし悪魔が同じ悪霊を追い出したのだとすれば、それは内輪争いをしたわけですから、どうしてその国は立ち行くでしょう。それなのに、あなたがたは、わたしが悪霊どもの頭によって、悪霊を追い出しているのだと言っています。

¹⁹もしもわたしが悪霊どもの頭によって悪霊を追い出したのだとしたら、あなたがたの仲間も、やはり悪霊によって追い出すことになるのですか。そんなことを言えば、あなたがたの仲間が、あなたがたを裁くことになるでしょう。

²⁰けれども、わたしが神の力によって、悪霊を追い出しているのなら、神の国はもうあなたがたの所に来ているのです。

²¹強い者が十分に武装して、自分の家を守っている時には、その持物は安全です。

²²しかし、もっと強い者が襲って来て、彼に打ち勝つと、彼の頼みにしていた武具を奪い、分捕品を分けます。

²³わたしの味方でない者はわたしに反対し、わたしと一緒に集めない者は散らす者で、神の国に中立などはありません。

²⁴あなたがたは、ちょうどこのようなものではありませんか。汚れた霊が人から出て行くと、休み場を求めて、水の無い所をさ迷いますが、見付かりません。そして、『出て来た自分の家に帰ろう』と言います。

²⁵帰って見ると、あき家になっており、掃除がきちんとされていて、片付いていました。

²⁶そこで、出掛けて行って、自分よりもっと悪いほかの七つの霊を連れて来て、中に入り、そこに住み込んでしまいます。すると、その人の終りは、初めよりも、さらに悪くなってしまいます。」

²⁷イエスがこれらのことを話しておられると、群衆の中から、一人の女が大声でこう言った。「あなたを産み、あなたを育てたお母さんは、なんと幸いなことでしょう。」

²⁸すると、イエスは答えられた。「確かにその通りです。ですから、マリヤが神の言葉を聞いてそれを信じたように、だれでも、神の言葉を聞いて、それを信じ続ける人は幸いです。」

²⁹群衆が群がって来て、天からの印を求める声が大きくなってくると、イエスは話し出された。「今の時代は、邪悪な時代です。邪悪な時代の人々は、いつでも印を求めます。しかし、預言者ヨナの印のほかには、何の印も与えられません。ヨナの印というのは、ヨナが足掛け三日間、大きな海の生き物の腹の中にいたということですが、わたしも足掛け三日間、地の中にいるようになります。

³⁰このように、ヨナはあの当時、ニネベの人々のために、印となりましたが、わたしはこの今の時代のために、印となります。しかし、この印は、足掛け三日間、地の中にいるということだけでなく、今わたしが行っている多くの奇蹟もまた、それなのです。

³¹南の国シバの女王が、裁きの時には、今の時代の人々と一緒に、我きの座に立って、この人たちを罪に定めるようになります。それは、シバの女王がソロモンの知恵を聞くために、わざわざ遠くからやって来たからです。しかしここには、ソロモンよりも、もっと偉大な者がいます。

³²また、ニネベの人々が、今の時代の人々と一緒に、裁きの座に立って、この人たちを罪に定めるようになります。それは、ニネベの人々が、ヨナの説教で悔い改めたからです。しかしここには、ヨナよりも、もっと偉大な者がいます。

³³ランプに明りを付けて、それを穴倉や升の下に置いて、それが見えないように隠してしまう人はおりません。家の中をよく照らすように、燭台の上に置きます。入って来る人に、その光が見えるためです。ちょうどそれと同じように、神様も救い主をお遣わしになるのに、隠したりはなさいません。それは、印によって明らかです。

³⁴ただ、外の明りがどんなに明るく輝いていても、体の明りである目が暗いと、暗闇の中で手探りしなければならなくなりますから、

³⁵あなたのうちの光が暗闇にならないように、気を付けなければなりません。そうでないと、わたしの本当の姿を見抜くことはできません。

³⁶もし、あなたが全身明るくなり、完全にわたしを知ったなら、周囲の人全体を明るくすることができるわけですし、わたしのことをほかの人に伝えることができるようになります。」

³⁷イエスが話しておられると、あるパリサイ派の人が、自分の家で食事をしていただきたいとお願いした。そこで、イエスは家に入って、食事の席に着かれた。

³⁸そのパリサイ派の人は、イエスが食前に、ユダヤ教の言い伝えの一つである清めの洗いという習慣に従って、手を洗われなかったのを見て、驚いた。

³⁹すると、主は言われた。「お前たちパリサイ派の人たちは、いつでも外側のことだけに関心があって、外側だけを清めようとするが、そんなことをしても、心の中は、貪欲と悪で一杯ではないか。

⁴⁰愚かな者たちだ。人の外側を造られた神様は、内側も造られたことを忘れないように。

⁴¹人の内側が、施す心に変えられるなら、内側も外側もすべてが清くなるのだ。

⁴²ああ災だ、パリサイ派の人たち。お前たちは、はっかや、うん香や、あらゆる野菜の十分の一はささげ物としているが、律法の中で、はるかに重要な正義と神様に対する愛をいいかげんにしている。十分の一のささげ物もいいかげんにしてはいけないが、正義と神様に対する愛は最も大切なものだ。

⁴³ああ災だ、パリサイ派の人たち。お前たちは、会堂の上席や、広場であいさつされることが好きだ。

⁴⁴ああ災だ。お前たちは、人目に付かない墓のようだ。その上を歩いても、だれも汚れたことに気が付かない。ちょうどそれと同じように、お前たちは人を汚す誤った模範を示していて、気付かぬうちに偽善によって人々を汚しているのだ。」

⁴⁵一人の律法学者がイエスに答えて言った。「先生。そのようなことを言われることは、私たちをも侮辱することです。」

⁴⁶そこで、イエスは言われた。「お前たち律法学者も災だ。お前たちは旧約聖書の律法を間違って解釈し、それを人間の規則として、重い荷物のように人々に課しているが、自分たちは、それが実行できるように指一本も貸そうとはしない。

⁴⁷ああ災だ。お前たちは、預言者たちの墓を建てている。しかし、お前たちの先祖が、その預言者たちを殺したのだ。

⁴⁸こうして、お前たちは、自分たちの先祖のしたことを認める証人となっている。お前たちの先祖が彼らを殺し、お前たちがその墓を建てているからだ。

⁴⁹だから、わたしもこう言ったではないか。『わたしは、預言者や使徒たちを彼らに遣わすが、彼らはそのうちのある者を殺し、ある者を迫害する。

⁵⁰それで、神を敬ったアベルの血から、祭壇と神殿の間で殺されたザカリヤの血に至るまで、世の初めから流されてきたすべての預言者の血について、この時代の人々はその責任を問われる。

⁵¹よく言っておくが、確かに、この時代の人々はその責任を問われるのだ。』

⁵²ああ災だ、律法学者たち。お前たちは、神の国に入る知識のかぎを取り上げて、自分が入らないばかりか、入ろうとする人たちを、入らせようともしない。」

⁵³イエスがそこを出て行かれると、律法学者やパリサイ派の人たちは、激しく詰め寄り、いろいろなことについて、しつこく問い詰めて、

⁵⁴イエスの語られる言葉から何かを捕えて、言い掛りを付けようと、ねらい始めた。