Read 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 ルカによるイエス・キリストの福音 12 Bible Online

ルカによるイエス・キリストの福音 12 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

ルカによるイエス・キリストの福音 12

¹こうしている間に、おびただしい群衆が、互いに足を踏み合うほど集まって来た。イエスはまず弟子たちに話し始められた。「パリサイ派の人たちのイースト菌に注意しなさい。それは、彼らの偽善のことです。

²覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので、知られないものはありません。

³ですから、わたしが内輪の弟子にだけ伝授した奥義を、今こそ公然と言い広め、伝道しなさい。

⁴そこで、わたしの友であるあなたがた弟子たちに言います。体を殺しても、魂を殺すことも何もできない人間を恐れてはいけません。

⁵そんな者たちよりも、本当に恐れなければならない方を、教えてあげましょう。それは、体を殺した後で、魂を地獄で滅ぼすことのできる力を持っておられる神様です。そうです。この神様を恐れることです。

⁶雀は一羽では値が付かないほど、値打の無いものです。そんな値打の無い雀一羽でも、天のお父様は決してご存じないのではありません。

⁷値打の無い雀ばかりか、あなたがたの髪の毛さえも、皆、数えられています。ですから、恐れることはありません。あなたがたは、あの多くの雀よりも、はるかに優れた者ではありませんか。

⁸よく聞いておきなさい。だれでも、人々の前でわたしを言い表す人は、わたしも天のお父様の前で、その人を言い表します。

⁹しかし、だれでも、人々の前で、わたしを否むなら、わたしも天のお父様の前で、その人を否みます。

¹⁰わたしに対して中傷する者は、悔い改めれば赦していただけますが、聖霊に対して故意に反抗するなら、悔い改めることができなくなって、永久に赦しを得られなくなってしまいます。

¹¹また、人々があなたがたを、わたしのためにユダヤ教の会堂や役人や高官などの前へ引っ張って行った時、どのように言おうか、何を話そうかなどと、心配するには及びません。

¹²話すべきことは、その時、聖霊が教えてくださるからです。」

¹³群衆の中の一人が、イエスに言った。「先生。私の兄弟に、遺産を分けてくれるようにおっしゃってください。」

¹⁴彼に言われた。「だれが、わたしをあなたがたの裁判官や調停者に任命したのですか。」

¹⁵それから、人々に言われた。「どんな貪欲に対しても注意し、警戒しなさい。というのは、たとい沢山の物を持ったとしても、その財産が人の命に代りはしないのです。」

¹⁶そこで、一つのたとえを語られた。「ある金持の畑が豊作でした。

¹⁷そこで、彼は心の中でこう考えました。『私の作物を仕舞っておく場所が無いのだが、どうしたものだろう。』

¹⁸そして言いました。『こうしたらよい。あの倉を取り壊して、もっと大きいのを建て、穀物や財産を皆そこに仕舞うことにしよう。

¹⁹そして、自分にこう言おう。「これから先、何年分もの食糧が一杯蓄えられた。さあ、もう大丈夫だ。安心して、食べたり、飲んだりして、楽しもうではないか。」』

²⁰すると、神様は彼に言われました。『愚か者だなあ。お前の命を、今晩取ってしまうかもしれないのだぞ。その時、お前が一生懸命ためた物は、一体だれのものになってしまうのか。』

²¹自分のために、いくら蓄えたとしても、こんなことになってしまったのでは、何にもならないでしょう。それは、神様を意識しない蓄え方をしているからです。」

²²それから、弟子たちに言われた。「ですから、よく聞いておきなさい。あなたがたは何を食べようかと、自分の命のことを心配したり、また何を着ようかと、自分の体のことを心配してはいけません。

²³命は食べ物よりもはるかに大切ですし、体は服よりもはるかに大切ではありませんか。

²⁴烏のことを考えてみなさい。種を蒔くこともしないし、刈り入れも、また納屋や倉に納めることもしません。それなのに、神様はそれを養っておられるでしょう。あなたがたは、鳥よりもはるかにすばらしいものではありませんか。

²⁵あなたがたの中で、だれが心配したからといって、自分の寿命を少しでも延ばすことができますか。

²⁶こんなことさえできないで、どうしてほかのことまで心配するのですか。

²⁷アネモネの花がどのようにして育つのか考えてみなさい。自分のために服を作るわけではありません。そして確かに、栄華を窮めたソロモンでさえも、この一つの花ほど美しい服を持っていたとは言えません。

²⁸今日は野にあって、明日は炉に投げ込まれてしまう野の草でさえ、神様はこれほど美しい装いをお与えになっておられるのですから、まして人間であるあなたがたに、それ以上のことをしてくださらないわけがあるでしょうか。ああ、なんと小さな信仰なのか。

²⁹ですから、何を食べようか、何を飲もうかなどと言って、あくせくしたり、気をもんだりすることはやめなさい。

³⁰こういうものは、皆、神様を知らない人たちが一生懸命に求めているものです。しかし、これらのものがあなたがたに必要なことぐらいは、天のお父様はよくご存じです。

³¹ですから、神様の事をいつも第一にしなさい。そうすれば、衣食住は、天のお父様が、必ず面倒を見てくださいます。

³²小さな群だからと言って、恐れることはありません。あなたがたに御国を下さることは、天のお父様の御心です。

³³自分の財産を売って、それを必要としている人に施してあげなさい。また、自分のために、朽ちることのない宝を天に蓄えなさい。そこには、盗人も近寄ることができませんし、また、それを損なうものもありません。

³⁴あなたの宝のある所には、あなたの心もあるからです。

³⁵腰に帯を締め、ランプに火を付けていなさい。

³⁶主人が婚宴から帰って来て、戸をたたいたら、すぐに戸をあけてあげられるように待っている人のようでありなさい。

³⁷主人が帰って来た時、目を覚しているところを見られるしもべたちは幸いです。よく言っておきますが、確かに、帰って来た主人は、その忠実なしもべの態度を喜び、かえって帯を締めて、しもべたちのために給仕をしてくれます。

³⁸主人が真夜中に帰って来ても、夜明けに帰って来ても、いつでもその忠実な態度を見られるなら、そのしもべたちは幸いです。

³⁹このことを、よくわきまえておきなさい。家の主人は、泥棒がいつごろ入るのかその時間を知っていたら、自分の家に泥棒を入れるわけがありません。

⁴⁰わたしはもう一度必ず来ますが、わたしの再臨の時には、これとちょうど同じことが起ります。」

⁴¹すると、ペテロが言った。「主イエス様。このたとえをお話になるのは、私たちのためでしょうか。それとも、みんなのためでしょうか。」

⁴²主は言われた。「主人が家の召使たちの上に管理者を立て、時に応じて彼らに食事を与えさせるようにした場合、一体、どんな管理者が忠実で賢いと言えるでしょうか。

⁴³主人が帰って来た時、そのように務めを果しているのを見られるしもべは幸いです。

⁴⁴よく言っておきますが、確かに、その主人はその人に自分の全財産を任せるようになります。

⁴⁵ところが、もしもそれが悪いしもべで、『主人の帰りは遅れる』と心の中で思い、下男下女たちを打ちたたき始め、また酒飲みたちと一緒になって、食べたり飲んだりしていると、

⁴⁶その主人は、彼が予期しなかった日、思わぬ時間に帰って来て、彼を厳しく罰し、不忠実な者たちと同じ目に遭わせます。

⁴⁷ところが、主人の心を知っていながら、その主人の願っている通りの用意もせず、働きもしなかったしもべは、ひどくむち打たれます。

⁴⁸しかし、知らなかったために、むち打たれる場合は、打たれても、少しで済みます。才能、財産、そのほか神様から多くのものを与えられた者は、多くのものを要求され、多くのものを任された者は、それだけ多くのものを要求されます。

⁴⁹わたしは、この地上に聖霊の火を燃やすために来たのです。わたしが十字架上で成し遂げる身代りの死に基づく聖霊の働きです。その火は、まだ燃え上がっていません。

⁵⁰それは、わたしがまだバプテスマを受けていないからです。わたしが受けるバプテスマ、それは、十字架の死です。ですから、それはどんなに大きな苦しみでしょう。

⁵¹あなたがたは、わたしがこの地上に、表面的な平和をもたらすために来たと思っているのでしょうか。そうではありません。本当の平和の前に、まず分裂を起させ、偽りの平和を破壊しようと思っています。

⁵²教会の時代には、一家が、きっと分裂してしまうでしょう。

⁵³父がその子に、子がその父に、母はその娘に、娘はその母に、しゅうとめはその嫁に、嫁はそのしゅうとめに逆らって分れるようになるでしょう。きっと、家族の者たちから反対されたり、迫害されるでしょう。」

⁵⁴イエスは、また群衆に対して、こう言われた。「あなたがたは、雲が西に起るのを見ると、すぐに、『にわか雨がやって来る』と言い、確かにその通りになります。

⁵⁵また、南風が吹いて来ると、『暑くなる』と言い、確かにその通りになります。

⁵⁶そんなによく空模様を見分けることを知りながら、どうして今の時代を見分けることができないのですか。表面的なことしか考えないあなたがたは、それこそ偽善者ではありませんか。

⁵⁷どうして、物事の本質を追求しようとしないのですか。

⁵⁸今の時代は、最後の裁きに向っている途中にあります。ですから、あなたがたは神様との和解をしなければなりません。

⁵⁹そうでないと、最後に裁かれてしまいます。」