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ヨハネによるイエス・キリストの福音 1 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

ヨハネによるイエス・キリストの福音 1

¹まだ、この世界も何も無かった時、すでにキリストは存在しておられた。キリストは神と一緒におられ、また神ご自身であられた。

²このように、キリストは神ご自身であられながら、唯一の神のうちにおられるもう一人の人格であられた。唯一の神には三人格があって、父と子と聖霊である。キリストは子であられる。

³すべてのものは、神によって造られた。だから、神であられるキリストによって造られないものは一つも無かった。

⁴神であられるキリストには、本当の命があり、この命こそは、人間が歩む道を照らす光にほかならない。

⁵キリストの命は光として、闇の世界に輝いており、闇の世界は、決してこれに打ち勝つことはできない。

⁶神はバプテスマのヨハネを遣わされた。

⁷それは、彼がキリストについて証言するためであり、彼の証言によって、すべての人がキリストこそ本当の光であることを知り、信じて、命を得るためである。

⁸彼は光そのものではなく、光であるキリストを証言するに過ぎない者である。

⁹すべての人を照らすその本当の光であるキリストが、この世界に来ようとしておられた。

¹⁰キリストは、元々この世界の主として、この世界を造られたお方であるのに、この世界の人々は、キリストをそのようなお方として認めようとはしなかった。

¹¹キリストは、ご自分の民として選ばれたユダヤ人の地に来られたのに、この選民たちのほとんどは、キリストを受け入れようとはせず、十字架に掛けて殺してしまった。

¹²しかし、たとい選民でなくても、このキリストを受け入れる人はだれでも、神の子供としての権威を頂くことができる。このキリストを信じる人はだれでも、救っていただくことができる。

¹³キリストを信じる人は、神が生れ変らせてくださるのであり、それは、決して先祖や親の身分や地位によるのではなく、人間の願望や意志によるのでもなく、ただ神の御心によるのである。

¹⁴キリストは人間となられて、私たちのいるこの地上に来られた。私たちは、このイエス・キリストがいかに恵み深く、また真理そのものでいらっしゃるかということを知っている。それは、実に、神の独り子の栄光であって、私たちはその栄光を見たのである。

¹⁵バプテスマのヨハネは、このイエス・キリストについて、大声を上げて、人々にこのような証言をした。「『もうすぐ活躍される方は、私よりもはるかに偉大な方です。その方こそ、永遠の昔からおられた神様だからです』と私が語ってきたのは、この方です。」

¹⁶私たちは皆、この方の満ち満ちた豊かさの中から、恵みに恵みを加えられた。

¹⁷というのは、モーセを通して与えられた律法によっては、ただ厳しい要求を求められたに過ぎなかったが、イエス・キリストは、私たちに、豊かな赦しの恵みと真理を下さったからである。

¹⁸今までに、肉眼で神を見た者は一人もいない。しかし、人間となってこの世に来られた独り子の神であられるイエス・キリストによって、私たちは神を知ることができるのである。

¹⁹ユダヤ教の指導者たちが、祭司や、彼を助けて神殿で働いているレビ族の人たちを、エルサレムからバプテスマのヨハネの下に遣わして、救い主なのかどうかを尋ねさせた時、ヨハネはこのように証言した。

²⁰彼は、はっきりと告白して、「私はキリスト(救い主)ではありません」と言った。

²¹そこで、彼らは質問した。「それでは、どなたなのですか。救い主の道備えの役割を果す再来のエリヤですか。」彼は「いいえ、そうではありません」と答えた。「それでは、モーセが預言しているあの預言者ですか」と言うと、「いいえ、そうではありません」と、彼は謙遜に答えた。

²²そこで、彼らは言った。「それでは困ります。一体あなたはどなたなのですか。私たちは帰って、私たちを遣わした人たちに返事をしなければなりません。あなたをどなたと報告したらよいのでしょうか。」

²³彼はただこのように言うだけであった。「私は、預言者イザヤが、『主の道を真直にせよ』と言っている、荒野で叫ぶ声に過ぎません。」

²⁴彼らは、パリサイ派の人たちで、パリサイ派の指導者たちから遣わされて来ていた。

²⁵彼らは、また、尋ねて言った。「キリストでも、エリヤでも、モーセの預言したあの預言者でもないのなら、どうしてあなたはバプテスマを授けておられるのですか。」

²⁶ヨハネは答えて言った。「私が授けているのは、悔い改めた人が、その悔い改めたことを表す水のバプテスマに過ぎません。しかし、ここにいる沢山の人々の中には、一人だけ全く別の人がいます。あなたがたは、その方について、本当は何も知りません。

²⁷この方は、もうすぐ活躍されますが、私はその方の靴のお世話をする奴隷ほどの値打も無い者です。それほど偉大なお方が来られます。」

²⁸これは、ヨハネがバプテスマを授けていたヨルダン川の西側にあるベタニヤであったことである。

²⁹その翌日、バプテスマのヨハネは、イエスが自分の方に来られるのを見て、こう言った。「ご覧なさい。この方こそ、世の人々の罪を取り除くために、神様が犠牲の子羊として与えてくださった方にほかなりません。

³⁰『もうすぐ活躍される方は、私よりはるかに偉大な方です。その方こそ永遠の昔からおられる神様だからです』と私が言ったのは、この方のことです。

³¹私も最初、この方がそのような方であることは、知りませんでした。しかし、私はこの方がどのような方であるかということを神様から示されましたので、その道備えとして、悔い改めを宣べ伝え、それを表明する人々に、水でバプテスマを授けています。」

³²ヨハネはまた、次のようにも証言した。「私は、御霊が鳩のように天から降って、この方の上に留まるのを見ました。

³³私も最初、この方がそのような方であることを知りませんでした。しかし、水でバプテスマを授けるようにと、私を遣わされた天のお父様が、私にこう言われたのです。『聖霊が降って、その上に留まる人を見たら、その人こそ、聖霊のバプテスマを授けられる救い主である。』

³⁴私はそれを見ました。それで、この方こそ神の子であると証言しているのです。」

³⁵その翌日、バプテスマのヨハネはまた二人の弟子たちと共に立っていたが、

³⁶イエスが歩いておられるのを見ると、「ご覧なさい。この方こそ、神様が私たちのために犠牲の子羊として与えてくださった方です」と言った。

³⁷その二人の弟子たちは、ヨハネがそう言うのを聞いて、ヨハネから離れ、イエスの弟子として付いて行った。

³⁸イエスは振り返って、彼らが弟子として付いて来るのをご覧になると、こう言われた。「何を求めているのかね。」彼らは答えた。「先生。今どこにお泊りですか。」

³⁹イエスは彼らに、「来てみなさい。そうしたら分ります」と言われた。そこで、彼らは付いて行って、イエスの泊っておられる所を知った。それは朝の十時ごろであったが、その日一日、彼らはイエスの所にいて、心ゆくまで話し合った。

⁴⁰ヨハネから聞いて、イエスに付いて行き、その弟子となった二人のうちの一人は、シモン・ペテロの弟アンデレであった。

⁴¹彼は、イエスの弟子になると、すぐ自分の兄シモンの所へ行き、「兄さん。私たちは救い主(キリスト)にお会いしましたよ」と言った。

⁴²彼は、そう言って、シモンをイエスのもとに連れて来た。イエスはシモンをご覧になるなり、こう言われた。「あなたはヨハネの子シモンですね。わたしはこれからあなたをケパ(ペテロ)と呼ぼう。それは堅い石という意味です。」

⁴³そのまた翌日、イエスはガリラヤに行こうとして、ピリポに会われ、こう言われた。「わたしの弟子になりなさい。」

⁴⁴ピリポは、ペテロやアンデレと同じベツサイダの町の出であった。

⁴⁵彼はナタナエルに会って、こう言った。「私たちは旧約聖書の中に何度も預言されている救い主にお会いしましたよ。それは、ナザレの人で、ヨセフの子イエスですがね。」

⁴⁶ナタナエルは言った。「ナザレからそんな人が出るはずはないでしょう。」そこで、ピリポは、「では、来て見てください」と言った。

⁴⁷イエスは、ナタナエルがご自分の方に来るのをご覧になると、こう言われた。「この人こそ、イスラエルの名前にふさわしい人だ。彼は偽りを憎む、本当のイスラエル人です。」

⁴⁸ナタナエルはこのイエスの言葉に度胆を抜かれて、「どうして私をご存じなのですか」と聞いた。イエスは、「ピリポがあなたを呼んで来る前に、わたしはあなたがいちじくの木の下にいたのを知っています。あなたは、あそこで祈っていましたね」と言われた。

⁴⁹このイエスの言葉を聞いたナタナエルは、一切の偏見を取り除かれ、「先生、あなたは神の子です。イスラエルの王キリスト様です」と告白した。

⁵⁰イエスはそれに答えて、こう言われた。「あなたは、いちじくの木の下にいたのを知っていたとわたしが言ったので、信じました。しかし、あなたはもっと驚くべきことを見るようになりますよ。」

⁵¹そして、さらにこう続けられた。「よく言っておきますが、確かに、わたしは天のお父様とあなたがたとの懸橋となります。そのことがあなたがたにも分るようになるでしょう。」