Read 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 ヨハネによるイエス・キリストの福音 5 Bible Online

ヨハネによるイエス・キリストの福音 5 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

ヨハネによるイエス・キリストの福音 5

¹その後、ユダヤ人の祭があって、イエスはエルサレムに上られた。

²エルサレムの市内、羊の門の近くに、ヘブル語でベテスダという名前の池があって、そこには、五つの回廊があった。

³そこには、大勢の病人、たとえば、盲人、足の不自由な人、やせ衰えた者たちが、体を横たえていた。この人々は、水が動くのを待っていた。

⁴それは、この池が間歇泉であって、時々水が吹き出すのを、人々は主の御使いがこの池に降りて来て、水を動かすものと考え、その時最初にこの池に入った人は、どのような病気でも治るものと信じていた。

⁵そこに、三十八年もの間、中風で寝たきりの男がいた。

⁶彼がその回廊で寝ている所へ来られたイエスは、その男をご覧になって、こう言われた。「本当に治りたいのか。」

⁷その病人は答えて言った。「もちろんです。でも、私は、水がかき回された時、自分で池の中に入ることができません。それに、だれも私を池の中に入れてくれる人はいません。いつでもほかの人が先に入ってしまうのです。」

⁸イエスは彼に言われた。「さあ、起き上がって、床をたたんで歩き出しなさい。」

⁹すると、その男はその通りにした。彼は治り、床をたたんで歩き出した。ところが、その日は安息日であった。

¹⁰そこで、ユダヤ人の指導者たちは、その治してもらった男に言った。「今日は安息日ではないか。床をたたんではいけない。」

¹¹彼は答えた。「私を治してくださった方が、『床をたたんで歩き出しなさい』と言われたのです。」

¹²そこで、彼らは尋ねた。「一体『床をたたんで歩き出しなさい』などと言ったのは、だれなんだ。」

¹³しかし、治してもらった人は、その人がだれであるかを知らなかった。人が大勢いたので、イエスはそっとそこから出て行かれたのである。

¹⁴それからしばらくして、イエスは神殿で、その男を見付けて言われた。「さあ、あなたは治りましたね。あなたはもう以前のような罪深い生活をしないようにしなさいそうでないと、もっとひどいことになりますよ。」

¹⁵その男は、ユダヤ人の指導者たちの所へ行って、自分を治してくれたのがイエスであることを知らせた。

¹⁶そのため、ユダヤ人の指導者たちは、安息日に人を治したと言ってイエスを責めた。

¹⁷そこで、イエスは彼らに答えられた。「天におられるわたしのお父様は、今に至るまで、ずっと働いておられます。ですから、わたしも働いているのです。」

¹⁸それを聞くと、ユダヤ人の指導者たちは、ますますイエスを殺そうと考えた。彼らの目には、イエスが安息日を破っておられるように見えたし、神を自分の父だと言って、ご自分を神と等しくされたからである。このようなイエスの姿をユダヤ人の指導者たちは、イエスが正しく神から離れて行動している証拠であると考えた。

¹⁹そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「よく言っておきますが、確かに、天のお父様とわたしとは、父と子の関係です。ですから、わたしが行う業は、天のお父様を離れては何も出来ません。そればかりか、天のお父様の御心でなければ、何もすることはできません。天のお父様の御心のままにするだけです。

²⁰天のお父様とわたしとの関係は、比類のないもので、それは深い愛によって結び合されています。ですから、わたしは天のお父様が示してくださった御業をしているに過ぎません。しかし、その業は驚くべきものです。

²¹天のお父様は死んだ人を生かして、命を与えることがおできになりますが、わたしもまた、御心にかなう人々に自由に命を与えることができます。

²²また、裁きの権をもわたしにお与えになりました。

²³それは、すべての人が、天のお父様を敬うように、わたしをも敬うためです。わたしを敬わない人は、わたしをお遣わしになった天のお父様をも敬うわけがありません。

²⁴よく言っておきますが、確かに、わたしの言う言葉を聞いて、わたしをお遣わしになった天のお父様を信じる人はだれでも、永遠の祝福を受け、決して裁かれることがなく、信じた時に、霊が死んでいた状態から命が与えられ、生きた状態に入れられます。

²⁵よく言っておきますが、確かに、罪のために、霊の死んでいる者たちが、神の御子の御声を聞く時が来ています。そして、それを聞いて信じる人はだれでも、霊が生きるようになるのです。

²⁶どうしてそのようなことが起るのかと言いますと、本当の命は、天のお父様ご自身だけが持っておられるのですから、天のお父様は、その本当の命をわたしに下さったのです。

²⁷また、天のお父様は裁きを行う権をも、わたしに下さいました。わたしは天のお父様によって立てられた救い主だからです。

²⁸この世の終りになると、わたしの声を聞いて、人々は復活して来ますが、そんなことがあったからと言って、驚かないでください。わたしはただの人間ではないのですから。

²⁹天のお父様の御心を受け入れる人々は、世の終りに復活して、永遠の祝福を受けますが、受け入れなかった人々は、世の終りに復活しても、永遠に呪われ続けなければなりません。

³⁰わたしは天のお父様の子ですから、自分の意志では何もしません。天のお父様の御心のままに裁きを行います。その裁きが正しい証拠は、天のお父様の御心のままに行うところにあります。

³¹わたしが、自分自身について証言するのだとしたら、律法にある通り、それは法的には無効となるでしょう。

³²ところが、わたしについて証言する証人は別におられます。その方の証言は確かなものです。

³³あなたがたは、バプテスマのヨハネの所に人を送りましたが、確かに、彼は真理であるわたしについて証言しました。

³⁴とは言っても、わたしは人間の証言を今必要としているのではありません。わたしがここでバプテスマのヨハネのことを言っているのは、あなたがたが救われることを考えてのことです。

³⁵彼は光そのものではありませんが、本当に、燃えて輝くともし火でした。あなたがたはしばらくの間でしたが、ヨハネのともした明るさの中で、神様がイスラエルを回復してくださる時が来たと思って、喜びました。しかし、それは今は消えてしまいました。

³⁶けれども、わたしたちには、バプテスマのヨハネよりもさらにすばらしい証言があります。天のお父様がわたしに成し遂げさせようとしてお与えになった働きがそれです。今わたしが行っている働きそのものが、わたしのことを、天のお父様がわたしをこの世にお遣わしになったと証言しているではありませんか。

³⁷また、わたしをこの世にお遣わしになった天のお父様ご自身が、わたしについて証言していてくださいます。あなたがたは、まだ一度もその御声を聞いたことがありませんし、また、その御姿を見たこともありませんね。

³⁸そればかりか、その御言葉をあなたがたの心に留めてもいませんね。それは、天のお父様が遣わされたわたしを信じないからです。

³⁹あなたがたは、旧約聖書の中に救いがあることを知っているのですから、旧約聖書を熱心に研究しなさい。その旧約聖書は、救い主としてのわたしを示しているのです。

⁴⁰それなのに、あなたがたは、そのわたしの所に来ようとはしません。

⁴¹というのは、あなたがたは神様よりも人からの栄誉を受けようとばかりしているからです。

⁴²あなたがたの行動の根本的な動機には、神の愛が無く、互いに人の栄誉を受けることしかありません。

⁴³ですから、人間のレベルでしか、ものを考えることができないあなたがたは、わたしが天のお父様の所から来ても、わたしを受け入れることができないのです。ほかの人が人間のレベルで自分自身を誇示して来れば、受け入れるに違いありません。

⁴⁴そういうわけで、あなたがたは、人間同士の栄誉を受けることにしか関心が無く、唯一の神様からの栄誉を求めようとしないのですから、神様から遣わされて来たわたしを信じることができないのは当り前のことです。

⁴⁵わたしがあなたがたを不信仰者として天のお父様に訴えるのだと思っているかもしれませんが、実はそうではありません。あなたがたを不信仰者として訴えるのは、わたしなのではなく、あなたがたが頼みにしているモーセです。

⁴⁶もし、あなたがたがモーセの律法を信じているのであれば、わたしを信じたはずです。というのは、モーセの律法はわたしについて預言しているからです。

⁴⁷ですから、あなたがたがモーセの律法に書かれていることを信じないのであれば、どうしてわたしの言葉を信じるでしょうか。あなたがたは、モーセの律法を守っていると言いながら、モーセが預言している律法の成就者であるわたしを、どうして信じないのですか。」