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ヨハネによるイエス・キリストの福音 9 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

ヨハネによるイエス・キリストの福音 9

²弟子たちは、この盲人を見て、イエスに尋ねて言った。「先生。この人が生れつき盲人なのは、だれが罪を犯したためでしょうか。本人でしょうか。それとも、両親でしょうか。」

³イエスは答えられた。「本人でも両親でもありません。だれが罪を犯したのかなどと聞いて、そこに解決があるでしょうか。この盲人が生れつき盲目であったことも神様の御心に無かったことではありません。神様はこの盲人の身の上に御業をなさろうとしておられるのです。

⁴わたしたちは、わたしをお遣わしになった天のお父様の働きを、この地上に残されている後わずかの間に、してしまわなければなりません。わたしがこの世を去る時は間もなく来ようとしています。

⁵わたしがこの世にいる間、わたしは世の光としての働きをします。」

⁶イエスはそう言って、地面につばを吐き、そのつばで泥を作り、その泥を盲人の目に塗ってこう言われた。

⁷「シロアムの池に行って洗いなさい。」そこで、彼は行って洗った。すると、見えるようになって、帰って行った。「シロアム」とは「遣わされた者」という意味であったので、そこで洗って見えるようになったことは、天のお父様から遣わされたイエス・キリストが見えるようにしてくださったことを暗示していた。

⁸近所の人たちや、前に彼が乞食をしていたのを見て知っていた人たちは、こう言った。「この人は、座って、乞食をしていた人ではないか。」

⁹それに賛成する人もあり、また違った意見を持っている人もいた。「いや、ただ似ているだけだ」と言った。それに対して本人は、「私がその当人です」と言った。

¹⁰すると、彼らはこう言った。「それでは、あなたの目はどうして見えるようになったのですか。」

¹¹そこで、彼は答えた。「イエスというお方が、つばで泥を作って、私の目に塗り、『シロアムの池に行って洗いなさい』と言われました。その通りにしますと、見えるようになりました。」

¹²彼らは、「それでは、その人はどこにいますか」と言うと、彼は、「知りません」と答えた。

¹³それから、彼らは前に盲人であったその人をパリサイ派の人たちの所へ連れて行った。

¹⁴イエスが泥を作って彼の目を見えるようにしておやりになったのは、安息日であった。

¹⁵そこで、パリサイ派の人たちも、彼にどのようにして見えるようになったかを尋ねた。彼は答えた。「あのイエスという方が私の目に泥を塗ってくださり、私が目を洗うと、見えるようになりました。」

¹⁶すると、パリサイ派のある人はこう言った。「そのイエスというやつは、神様から来たのではない。第一、安息日を守っていないではないか。」しかし、ほかの人たちはまたこう言った。「でも罪人だとしたら、どうしてこんな奇蹟を行うことができるだろうか。」こうして、彼らの間に分裂が起った。

¹⁷そこで、彼らはもう一度盲人に聞いた。「目が見えるようにしてくれたあの人を、一体だれだと思っているのか。」彼は答えた。「あの人こそ神様から遣わされて来た預言者に間違いありません。」

¹⁸ところが、ユダヤ人の指導者たちは、目が見えるようになったその男の言うことを信じることができず、その両親を呼び出して、

¹⁹こう尋ねた。「この男はあなたがたの息子ですか。生れた時から盲人でしたか。もしもそうなら、どのようにして目が見えるようになったのですか。」

²⁰両親は答えて言った。「これは確かに私どもの息子で、生れつき盲人でした。

²¹しかし、どのようにして今見えるようになったのか、また、だれがあの子の目を見えるようにしてくれたのか存じません。本人に聞いてください。もう大人ですから、自分で話すでしょう。」

²²両親はユダヤ人の指導者たちを恐れてこう言ったのであった。それは、彼らがイエスを救い主であると告白する者は、だれでも会堂から追放すると公言していたからである。

²³それで、両親は知っていたのに、はっきりと答えることをはばかったのである。

²⁴そこで、彼らは盲人であった人をもう一度呼び出して言った。「あのイエスにではなく、神様に栄光を帰することを忘れないように。私たちはあのイエスが悪い人間であることをよく知っているのだ。」

²⁵彼は答えた。「あの方が悪い人間かどうか、私は知りません。けれども、ただ一つのことだけは確かです。私は盲人でしたが、今はこの通り見えるようになっているということです。」

²⁶そこで、彼らは言った。「あの男はお前に何をしたのか。どのようにして目を見えるようにしたのか。」

²⁷彼は驚いて言った。「もうお話したではありませんか。あなたがたは信じてくれませんでした。どうしてまた聞くのですか。今度はあの方の弟子になりたいというわけですか。」

²⁸彼らはののしって言った。「お前はあいつの弟子かもしれん。しかし、私たちはモーセの弟子だ。

²⁹神様は確かにモーセにお語りになった。しかし、あいつについては何も知らないぞ。」

³⁰彼は答えた。「これは驚きました。あなたがたはあのイエスという方をご存じないとおっしゃる。けれども、あの方は私の目を見えるようにしてくださったのですよ。

³¹神様は悪い人間の言うことはお聞きになりませんが、神様を敬い、その御心を行う人の言うことなら、必ず聞いてくださいます。

³²生れつき盲人であった人の目を見えるようにした人がいたという話は、今までに聞いたことがありません。

³³もしあの方が神様から来られたのでなかったら、どうしてそんなことができたでしょう。」

³⁴彼らは答えて言った。「こいつ何を言うか、悪者めが。」そして、彼を追放してしまった。

³⁵イエスは、彼がユダヤ教の会堂から追放されたことを聞き、彼を捜し出し、こう言われた。「あなたは救い主を信じますか。」

³⁶その人は答えた。「イエス様。その方はどなたでしょう。私は信じたいのです。」

³⁷イエスは彼に言われた。「あなたはその人に会いました。今あなたが話しているのがその人ですよ。」

³⁸彼は言った。「はい、主イエス様。信じます。」そして、イエスを拝した。

³⁹そこで、イエスは言われた。「わたしは裁きのために、この世に来ました。この裁きというのは、区別をすることです。霊が盲目であった人は見えるようになり、何でも見えると思っている人は、実は霊が盲目なのだということを知ってもらうためです。」

⁴⁰パリサイ派の中で、そこにいた人々が、このことを聞いて、イエスに尋ねた。「それでは、私たちも盲目だとおっしゃるのですか。」

⁴¹イエスは答えて言われた。「もしあなたがたの霊が盲目であると自覚していたら、赦されたでしょう。しかし、あなたがたは何でも見えると自負しているではありませんか。それが罪なのです。」