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初代教会の働き 22 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

初代教会の働き 22

¹「同胞の皆さん。議員の皆さん。長老の皆さん。どうか私がこれから申し上げる弁明を聞いてください。」

²パウロが自分たちの言葉で語り掛けるのを聞くと、人々は次第に静かになった。そこで、パウロは続けて言った。

³「私はキリキヤ地方のタルソで生れたユダヤ人ですが、このエルサレムの町で育てられ、律法学者ガマリエル先生の下で、私たちの律法について厳格な教育を受けました。そして今の皆さんと同じように、神様に対して熱心な者でした。

⁴私はクリスチャンを迫害し、男女を問わず縛っては投獄し、殺してしまったこともありました。

⁵このことは、大祭司様も、長老の方々も、議員の方々も全員よくご存じのことです。私は大祭司様のお墨付を頂いて、ダマスコへ行き、そこのクリスチャンたちを縛り上げ、エルサレムへ引っ立てて来ようと思って出掛けて行きました。

⁶旅を続けて、ダマスコにもう少しという所で、真昼ごろでしたが、突然まばゆいばかりの光が天から私を巡り照らしたのです。

⁷私が地に倒れると、『サウロ、サウロ。どうしてわたしを迫害するのか』という声を聞きました。

⁸私が、『主よ。一体あなたはどなたですか』と申しますと、その方は、『わたしは、あなたが迫害しているナザレのイエスです』と言われました。

⁹私と一緒にいた人たちは、そのまばゆい光は見たのですが、私に語り掛けた方の御声は聞きませんでした。

¹⁰私が、『主よ。私はどうしたらよいのでしょうか』と尋ねると、主は私にこう仰せられました。『さあ、起きて、ダマスコに行きなさい。あなたがしなければならないことは、すべてそこで知らされます。』

¹¹ところが、私は余りに強い光に目がくらみ、何も見えなくなっていましたから、一緒にいた人たちに手を引いてもらって、ダマスコの町に行きました。

¹²すると、そこには律法に忠実で、敬虔な人であり、そこにいるユダヤ人全体に評判の良いアナニヤという人がいて、

¹³私の所に来て、こう言ってくれました。『サウロ。目が見えるようになりなさい。』するとその瞬間、私は目が見えるようになりました。

¹⁴アナニヤという人はこう言いました。『私たちの先祖の神様は、あなたに御心を知らせ、救い主(キリスト)に会うようにさせ、その方の御口から親しく御声を聞かせようとして、あらかじめすべてを用意しておられたのです。

¹⁵それは、あなたが見聞きしたことを、すべての人に語るためにほかなりません。

¹⁶そういうわけですから、何のためらうこともありません。さあすぐに立って、主のお名前によってバプテスマを受けることです。それは、自分の罪を洗い流すことを表します。』

¹⁷それから、私はエルサレムへ帰って、神殿の所で祈っていると、夢心地になり、

¹⁸そこで、再び主にお目に掛りました。その時、主はこう仰せられました。『急いで、今すぐエルサレムから出て行きなさい。わたしのことをいくらあなたが語っても、人々は受け入れません。』

¹⁹そこで、私は主にお答えしました。『主イエス様。私が至る所の会堂で、あなたを信じる人々を投獄したり、むちで打ったりしていたことを、彼らはよく知っています。

²⁰また、あなたの忠実な証人ステパノが殉教の死を遂げた時も、私はその場にいて、彼を殺すことに加担していたのです。』

²¹すると、主は私にこう仰せられました。『さあ行きなさい。わたしがあなたを異邦人伝道に遣わします。』」

²²ここまで聞いていた群衆は、この時、声を張り上げて言った。「こんなやつは、片付けてしまえ。生かしておくな。」

²³群衆がわめき立てて、自分の上着を放り投げ、ちりを空中にまき散らすので、

²⁴司令官はパウロを兵営の中に引き入れるように命じ、群衆がどうしてパウロに対してわめき立てているのかを知ろうとして、彼をむちで打ち、拷問に掛けて取り調べるように命じた。

²⁵兵隊がむちを当てるためパウロを縛ろうとすると、そばに立っていた中隊長にパウロは言った。「ローマの市民権を持っている者を、裁判に掛けもしないで、むち打ってもよいのですか。」

²⁶中隊長はこれを聞くと、司令官の所へ行って、このことを報告した。「あれはローマの市民権を持っていると申しておりますが。」

²⁷司令官はパウロの所へ来て言った。「本当にあなたはローマの市民権を持っているのかな。」パウロが、「そうです」と答えると、

²⁸司令官は言った。「私はこの市民権を、多額のお金を出して手に入れたんだ。」パウロは、「私は生れながらにして持っています」と答えた。

²⁹そこで、パウロを取り調べようとした兵隊たちは、すぐに彼から身を引いた。司令官も、パウロがローマの市民権を持っていることを知ると、彼を鎖で縛っていたので、大変不安に思った。

³⁰翌日、司令官はパウロがなぜユダヤ人たちに告訴されたのかという確かなことを知りたいと思い、パウロの鎖を解いてやり、祭司長たちとユダヤ人議会の召集を命じ、パウロを連れて、議会へ行った。