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初代教会の働き 9 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

初代教会の働き 9

¹さて、サウロはなおもクリスチャン撲滅のために息をはずませながら、大祭司の所へ行き、

²ダマスコの会堂当の手紙を頼んだ。それは、クリスチャンを見付け出しては、男であろうと女であろうと、縛ってはエルサレムに引っ張って来るためであった。

³そして、ダマスコに近付きつつあった時、突然、天からの光が彼の周りを照らし出した。

⁴彼は地に倒れ、「サウロ、サウロ。どうしてわたしを迫害するのか」という声を聞いた。

⁵「あなたはどなたですか」と言うと、答えがあった。「あなたはクリスチャンを迫害していますが、その実、このわたしを迫害しているのです。わたしはイエスです。

⁶立ち上がって、町に入りなさい。そこで、わたしが遣わした人から何をしたらよいか聞きなさい。」

⁷一緒にいた人たちは、声は聞えたのに、だれも見えなかったので、茫然と立ち尽していた。

⁸サウロは地面から立ち上がったが、目はあいているのに、何も見えなかった。そこで、ほかの人々がサウロの手を引いて、ダマスコの町へ入った。

⁹彼は三日間、目が見えず、飲み食いしなかった。

¹⁰さて、他方、ダマスコの町には、アナニヤという信者が住んでいた。主が彼に幻の中で、「アナニヤ」と彼の名前をお呼びになると、彼は、「神様。何でございましょうか」と答えた。

¹¹そこで、主は彼に仰せられた。「真直という名前の通りにあるユダの家へ行って、そこにいるタルソ人のサウロを訪ねなさい。あの迫害者サウロが祈っています。

¹²彼は、あなたが来るのを待っています。あなたが彼の頭に手を置くと、再び目が見えるようになることを、わたしから知らせてあります。」

¹³それでもアナニヤはこう言った。「神様。あの男がエルサレムでどんなにひどい迫害を教会に加えていたかということは、だれでもよく知っています。

¹⁴ここまで来て、クリスチャンを縛ろうとしています。その権限を祭司長たちから授けられているということです。」

¹⁵しかし、主は仰せられた。「いや、もう今はそうではありません。今は、イスラエルの人々ばかりでなく、異邦人や王たちにも、わたしのメッセージを宣べ伝える器に変えられました。

¹⁶けれども、そのためには、きつと多くの苦しみをなめなければならなくなるでしょう。」

¹⁷そこで、アナニヤは主の仰せられた通り、ユダの家に行き、サウロの頭に手を置いて、こう言った。「信者のサウロ。あなたに現れてくださった主イエス様は、私にも現れて、私をここへ遣わしてくださいました。あなたの目が再び見え、聖霊に満たされるようになるためです。」

¹⁸するとすぐ、サウロの目からうろこのようなものが落ちて、目が見えるようになった。彼は立って、バプテスマを受け、

¹⁹食事をして、元気になった。

²⁰19節：サウロは、数日間、ダマスコの信者たちと一緒にいて、すぐにユダヤ教の会堂に入っては、「イエス様は神の御子であられる」と言って、宣教を始めた。

²¹それを聞くと、人々は皆驚いて言った。「あれは、エルサレムでクリスチャン撲滅に熱中していた男ではないか。ここへやって来たのも、本当は、ああやって人の目をごまかし、クリスチャンを縛っては、祭司長たちの所へ引っ張って行くためではないだろうか。」

²²しかし、サウロはそんなことにはお構いなく、ますます強力にイエスがキリストであることを論証し、ダマスコ在住のユダヤ人たちを閉口させた。

²³しばらくすると、ユダヤ人の中で、サウロを殺す陰謀が起った。

²⁴ところが、この陰謀は、サウロに分ってしまった。彼らはサウロを殺そうとして、昼も夜も町の門を全部見張っていた。

²⁵ところが、サウロによって回心した人たちは、夜中に、彼を町の城壁からかごでつり下ろして逃がした。

²⁶それから、サウロはエルサレムへやって来て、クリスチャンの仲間入りをしようとしたが、彼が本当にクリスチャンになったとは信じられなかった。

²⁷しかしバルナバは、彼を使徒たちの所へ連れて行き、ダマスコへ行く途中で彼が主にお会いしたことや、主が彼に語られたこと、またそれから、彼がダマスコでイエスのお名前を大胆に宣べ伝えたことなどを説明した。

²⁸それからというもの、サウロはエルサレムの教会に受け入れられ、主イエスを大胆に宣べ伝えた。

²⁹そして、外国育ちのユダヤ人たちと語ったり、論じたりしていた。しかし、彼らはサウロを殺そうとねらっていた。

³⁰クリスチャンたちがこのことを知ると、サウロをカイザリヤへ連れ出し、彼の故郷タルソへ送ってしまった。

³¹こうして、教会はユダヤ、ガリラヤ、サマリヤの全地に渡って強くなって行き、平和であった。また主を恐れ、聖霊に励まされて前進して行き、次第に信者の数が増えていった。

³²さて、ペテロは方々を巡回したが、ルダにいるクリスチャンたちの所へも行った。

³³彼は、八年間も中風で寝たきりのアイネヤの所へ行き、

³⁴彼に言った。「アイネヤ。イエス・キリスト様があなたの病気を治してくださいます。さあ、立ち上がりなさい。自分で寝床を片付けてみなさい。それが出来ますよ。」するとその時、アイネヤはすぐに立ち上がった。

³⁵ルダとサロンにいた人たちは、アイネヤが歩き回っているのを見ると、主イエスを信じるようになった。

³⁶ヨッパの町には、かもしかという意味を持ったタビタ(ドルカス)という名前の女がいて、信者であった。彼女は、いつも貧しい人々を助けていた。

³⁷ところが、そのころ彼女は病気にかかって死に、人々は葬りの準備をして、彼女の遺体を二階の広間に安置した。

³⁸ルダはヨッパに近かったので、信者たちはペテロがルダに来ていることを聞き、二人の人をペテロの所へやって、「すぐに来ていただきたいのです」と言って頼み込んだ。

³⁹そこで、ペテロはその二人の人と一緒に出掛けて行った。ペテロがそこへ来ると、彼らは二階の広間に案内した。未亡人たちはペテロのそばに来て、泣きながら、ドルカスが生前に作ってくれた服の数々を見せた。

⁴⁰ペテロは、みんなを外へ出してから、ひざまずいて祈った。それから遺体の方を向いて、「タビタ。起きなさい」と言った。すると、彼女は目をあけ、ペテロを見て、起き上がった。

⁴¹ペテロは彼女に手を貸して、立たせた。それから、ほかの人々を呼んで、彼女が生き返ったのを見せた。

⁴²このことはヨッパの町中に知れ渡り、多くの人々が主を信じた。

⁴³ペテロは、それからしばらくの間、ヨッパで皮なめしのシモンという人の家に泊っていた。