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コリント教会へのパウロの手紙1 9 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

コリント教会へのパウロの手紙1 9

¹私は使徒であり、どんなことにも拘束されない自由な者である。また、実際この目で主イエスにお会いした者である。そして、あなたがたは私が主の働きをした結果、救われた人たちである。そうではないだろうか。

²たとい、ほかの人たちが私を使徒と認めなかったとしても、あなたがたにとってはそうではないはずだ。あなたがたこそ、私の伝道によって救われた人たちなのだから、私の使徒職を立証する人たちである。

³私を批判する人たちに対して、私は次のように答えようと思う。

⁴私たちは、教会によってその生活を支えてもらう権利が無いだろうか。

⁵私たちには、主の弟たちやペテロを始め、ほかの使徒たちのように妻と一緒に生活する権利が無いのだろうか。

⁶私とバルナバだけは、生活のために働き続けなければならないのだろうか。

⁷一体自費で兵隊生活をする者がいるだろうか。自分でぶどう園を作りながら、その実を全然食べない者がいるだろうか。自分で羊を飼いながら、その乳を全然飲まない者がいるだろうか。

⁸私はただ単に人間の考え方を持ってきて、権利を主張しているのではない。律法もそのように教えている。

⁹申命記には、モーセがこのように書いている。「穀物を脱穀している牛に口輪を掛けて、その穀物を食べさせないようにしてはならない。」神が御心に掛けておられるのは、牛のことだけだろうか。

¹⁰これは、私たちのことにも言及している。クリスチャンの働き人が、その働きによって救われた人々から報酬を受けるのは当然のことである。

¹¹私たちはあなたがたのために、霊的な働きをした。それに対してあなたがたは、私たちに物質的な報酬をもって報いるのである。そのことを私たちが期待しても、決して行き過ぎではないだろう。

¹²あなたがたに御言葉を語ったほかの人々に対しては、あなたがたが献金しているのだから、私たちも受けてよいはずではないか。しかし、私たちはそれを受けようとはしなかった。それは、私たちがキリストの福音を宣べ伝える妨げにならないようにするためであり、そのためにじっと耐えてきた。

¹³あなたがたは、神殿で働いている人たちが、神殿にささげられたもので自分の生活を支えることが、律法に規定されていることを知っているだろう。

¹⁴それと同様に、主も福音を宣べ伝える者が、それを信じた人々によって生活の支えを得るように定めておられる。

¹⁵けれども、私はこの権利を少しも使いはしなかった。また、私は自分がそうされたくてこのように書いているのではない。私は、報酬無しに福音を宣べ伝えることの喜びを奪われるくらいなら、死んだ方がよいと思っている。

¹⁶というのは、私がいくら福音を宣べ伝えたとしても、それは決して自慢できるようなことではない。もしも私が福音を宣べ伝えることをやめたら、私自身にとっても人々にとっても、それは災と言うべきである。

¹⁷私が自発的に福音を宣べ伝えるなら、主は豊かな報いを下さることだろう。しかし、実際はそうではなく、神に強いられて、この働きをしている。

¹⁸このようなわけで、福音を宣べ伝えている私だからこそ、せめて報酬を期待せずに、福音を宣べ伝える喜びにあずかりたいのである。

¹⁹このように、私はだれにも気がねすることなく、自由に福音を宣べ伝えているのだが、しかし一人でも多くの人を救いに導きたいために、進んですべての人に仕える者となった。

²⁰ユダヤ人を導くためには、ユダヤ人と同じ生活をした。律法を守る生活に努めている人を導くためには、私自身もはや律法にきゅうきゅうとした生活にはないけれども、律法を守ろうとしている人と同じ生活をした。

²¹異邦人を導くためには、私自身決して異邦人ではないけれども、異邦人と同じ生活をした。

²²小さいことで良心を悩ませる人々を導くためには、その人々を傷つけないように努力した。あらゆるタイプの人を導くために、自分を殺し、相手に合せようとした。

²³私は、福音によって人が救われるためなら、どんなことでもする。それは、私も福音の祝福にあずかるためである。

²⁴競技をする場合、優勝者は一人しかいないことを知っているだろう。あなたがたも、その優勝者になるために、一生懸命やりなさい。

²⁵優勝するためには、あらゆる努力を払って節制する。地上の競技においてそうするのなら、まして、天国への競技である信仰生活においては、なおさらではないか。

²⁶だから、私は目標の分らないような走り方をしないし、無駄なことは一切しない。

²⁷私は、競技の選手のように、厳しい自己訓練をする。それは、ほかの人に福音を宣べ伝えておきながら、自分の使徒職が無効になることのないためである。