Read 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 士師記（士師統治記） 20 Bible Online

士師記（士師統治記） 20 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

士師記（士師統治記） 20

¹そこで、全イスラエルはダンからベエル・シェバに至る各地はもとより、ヨルダン川のギルアデの地に至るまで、ミツパに集まり、主の御前に出た。

²それは、イスラエルの全部族の指導者たちと四十万の武装した者たちであった。

³イスラエル軍がミツパに集結したということは、ベニヤミン族の耳にも入った。ミツパに集まった者たちは、事件の真相を知ろうとして、殺された女の夫であるレビ族の男に尋ねた。

⁴すると、彼はこう説明した。「私はあのそばめと一緒に、ベニヤミン族の所領地であるギブアで一夜を明かそうとしました。

⁵すると、その町の者たちは私の泊っている家にやって来て、夜中にその家を取り囲み、私を殺そうとしましたが、結局、私のそばめをもて遊んで死なせてしまいました。

⁶そこで、私は彼女の死体を切り分けて、それをイスラエルの全部族に送ったわけです。こんなことがあってよいものでしょうか。

⁷皆さんのご意見を伺いたいと思っています。」

⁸それを聞くと、全員が立ち上がって、こう言った。「ギブアの者たちを懲らしめるまでは、家に帰るまい。

⁹さあ、今くじを引いて、

¹⁰全軍の十分の一を食糧の補給に当らせ、ギブアを攻撃しようではないか。」

¹¹こうして、イスラエルは団結して、ギブアの町を攻めることにした。

¹²それから、イスラエル諸部族から成る連合軍は、ベニヤミン族に使いを送って、こう言わせた。「あなたがたのうちで起ったあのいまわしい事件をどう思うか。

¹³今、ギブアにいるあの悪い者たちを引き渡しなさい。彼らを殺して、イスラエルの中から悪を除き去るのだ。」しかし、ベニヤミン族は、この申し入れに耳を貸そうとはしなかった。

¹⁴それどころか、彼らはほかの町からもギブアに集結して、事を構える様子であった。

¹⁵ほかの町からは二万六千人の武装した者たちが集結し、ギブアの中から七百人の精兵がこれに加わった。

¹⁶この中には、左手で石を投げれば必ず命中するという者が七百人含まれていた。

¹⁷一方、ベニヤミン族を除くイスラエル諸部族からの連合軍は四十万人で、皆武装していた。

¹⁸イスラエル諸部族の連合軍は、まずベテルに行き、神の指示を仰いだ。「私たちの中で、どの部族が先頭に行って、ベニヤミン族と戦ったらよいでしょうか。」すると、主は、「ユダ族である」と仰せられた。

¹⁹翌朝、イスラエル諸部族の連合軍は、ギブアに対して陣を敷いた。

²⁰つまり、そこで戦うための準備を始めたのである。

²¹ベニヤミン族の方は、ギブアから出て来て、その日一日で、イスラエルの連合軍二万二千人を殺した。

²²そのことがあって、イスラエルの連合軍は、かえって奮い立ち、最初に陣を敷いた所に帰って、再び戦うための準備をした。

²³それから、彼らは主の前で泣きながら祈って、主に申し上げた。「私どもは、またも同族であるベニヤミン族と戦わなければならないのでしょうか。」主は、「攻めなさい」と仰せられた。

²⁴そこで、イスラエルの連合軍は、その次の日、ベニヤミン族を攻めたが、

²⁵その日も、ベニヤミン族のために、一万八千人を失ってしまった。

²⁶そのため、イスラエルの諸部族は全員こぞってベテルへ行き、泣きながら断食して祈り、完全に焼き尽すいけにえと和解のいけにえを主にささげた。

²⁷そして主の御心を求めた。当時、神の十戒の箱は、そこにあって、

²⁸エルアザルの子で、アロンの孫に当るピネハスが、そこで祭司の務めをしていた。彼らは祈って、主に申し上げた。「私たちは、ベニヤミン族と戦うべきでしょうか。それとも、やめるべきでしょうか。」すると、主は、「攻めなさい。明日は、彼らをあなたがたの手に渡す」と仰せられた。

²⁹そこで、イスラエルの連合軍は、ギブアの周りに伏兵を潜ませた。

³⁰三日目になって、イスラエルの連合軍は、ベニヤミン族に攻撃を掛け、いつものような陣形を取った。

³¹すると、ベニヤミン族は、いつものように出て来た。彼らは、おびき出されるまま、前回と同様に、ベテルとギブアを結ぶ路上で、イスラエルの連合軍を撃破し、たちまち三十人を殺した。

³²ベニヤミン族は、「今日も勝ったぞ」と叫び、イスラエルの連合軍は、「さあ、逃げて、彼らをおびき出すのだ」と言った。

³³連合軍の本隊は、バアル・タマルまで来ると、反転して、陣形を整えた。そうしている間に、伏兵として隠れていた者たちがマアレ・ゲバから飛び出して来て、

³⁴その精兵一万人がギブアに向って進軍し、激戦を展開した。しかし、ベニヤミン族は、自分たちの本陣が襲われていることに気が付かないでいた。

³⁵こうして、主がイスラエルの連合軍の手にベニヤミン族を渡されたので、その日ベニヤミン族のうち二万五千百人が殺された。彼らは皆武装した者たちであった。

³⁶この戦いをもう一度振り返ってみると、このようになる。イスラエルの連合軍がベニヤミン族の前から退却したのは、ギブアの周辺に潜ませていた伏兵を頼んでのことであった。

³⁷連合軍の本隊が退却すると、それを追ってベニヤミン族が町を出た。するとすぐ、伏兵はギブアの町に突入し、町中の者たちを打ちまくった。

³⁸連合軍の本隊と伏兵の間には、合図が決められていて、町からのろしが上がるのを見たら、

³⁹連合軍の本隊は反転して、戦う手はずになっていた。ベニヤミン族は連合軍の兵士三十人ほどを倒し始め、「今日も勝ったぞ」と叫んだ。

⁴⁰そのころ、のろしが煙の柱となって町から上り始め、ベニヤミン族が後ろを振り向くと、町全体から煙が天高く上っていた。

⁴¹そこへ、イスラエルの連合軍が反撃して来たので、いよいよ窮地に陥ったことを知って、うろたえた。

⁴²それで、彼らはそこから荒野の方へ逃げたが、連合軍に追跡され、伏兵もこれと合流して、彼らは散々な目に遭った。

⁴³連合軍はいよいよベニヤミン族を包囲して追い詰め、ヌアから東の方ギブアの向う側まで、その大半を打ち倒した。

⁴⁴こうして、一万八千人のベニヤミン族の兵隊が殺された。

⁴⁵また残りの者は、荒野に逃げ、リモンの岩に向ったが、その途中で五千人が殺され、さらにギデオム付近で二千人が殺された。

⁴⁶こうして、この日の戦いで倒れたベニヤミン族の兵隊は二万五千人であった。

⁴⁷それでも、六百人の者は荒野へ逃げ、リモンの岩に向い、そこに四か月こもった。

⁴⁸イスラエルの連合軍は、引き返し、ベニヤミン族に属する者は、人も家畜もすべて殺し、町は火で焼いてしまった。