Read 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 士師記（士師統治記） 3 Bible Online

士師記（士師統治記） 3 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

士師記（士師統治記） 3

¹カナンで戦ったことのないイスラエルの民の信仰を試すために、主が残しておかれた国民は、次の通りである。

²主はこの新しい世代の民に、敵と戦い、これを征服することによって、信仰の従順を教えようとされたのである。

³それは、ペリシテ人の五人の領主、カナン人、シドン人、バアル・ヘルモン山からレボ・ハマテまでのレバノン山に住んでいたヒビ人である。

⁴彼らは、主がモーセを通して先祖たちに与えた戒めに、イスラエルの民が従うかどうかの試金石となった。

⁵イスラエルの民は、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人と一緒に住んで、

⁶彼らと結婚関係に入り、彼らの信じていた異教の神々を拝んだ。

⁷こうして、イスラエルの民は、主に対して罪を犯し、主である神を忘れて、バアルやアシェラを拝んだ。

⁸そのため、主は彼らに対して激しく怒り、彼らをアラム・ナハライムの王クシャン・リシュアタイムの手に渡されたので、イスラエルの民は、八年間、クシャン・リシュアタイムの支配下に屈することになった。

⁹その苦しみの中で、主に助けを求めると、主はイスラエルの民を救う一人の士師、ケナズの子で、カレブの弟に当るオテニエルをお立てになった。

¹⁰主の御霊が彼と共にあったので、彼はイスラエルの民を指導し、また、イスラエルの民を救うために、クシャン・リシュアタイムと戦って、これに勝つことができた。

¹¹こうして、イスラエルの民は、四十年間平和であった。それから、ケナズの子オテニエルは死んだ。

¹²そうすると、イスラエルの民は、また主に対して罪を犯した。そのため、主はモアブのエグロン王を強大にし、イスラエルに侵入することを許された。

¹³エグロン王は、アモン人とアマレク人に加勢を頼み、イスラエルに侵攻して、これを打ち破り、なつめやしの町と呼ばれたエリコを占領した。

¹⁴そのため、イスラエルの民は、十八年間モアブのエグロン王の支配下で苦しんだ。

¹⁵イスラエルの民が苦しみの中で、主に助けを求めると、主は彼らを救う一人の士師、ベニヤミン人ゲラの子で、左ききのエフデをお立てになった。イスラエルの民は、彼を送って、モアブのエグロン王に年貢を届けることにした。

¹⁶エフデは出発に先立ち、長さ五十センチの両刃の短剣を作り、右ももにひもでくくり付け、服の下に隠した。

¹⁷こうして、彼はモアブのエグロン王に年貢を届けに行った。エグロンは大変太っていた。

¹⁸年貢を渡し終ってから、エフデは同行の者たちを先に帰らせ、

¹⁹自分はギルガルのそばの石切り場の所から引き返して来て、王に対し、「内々に申し上げたいことがございます」と言った。王は、待従たちに席を外すようにと命じた。

²⁰エフデは王に近付いて行った。その時、王は一人で涼しい屋上の間に座っていた。エフデが、「実は、神様の御告がございました」と言うと、王はその御告を受けるために、そこに立ち上がった。

²¹すかさずエフデは、左手を伸し、右ももから短剣を抜くと、王の腹に突き刺した。

²²柄まで食い込んでしまい、腹の脂肪が刃にくっついて、抜くことができなかった。

²³エフデはすばやく王のいる屋上の間の戸をしめ、鍵をかけ、窓から抜け出した。

²⁴彼が出て行ってから、戻って来た待従たちは、屋上の間の戸がしまっており、鍵が掛っているのを知ると、王がそこで用足しをしているのだと思った。

²⁵しかし、いくら待っても、戸があかないので、鍵を使ってあけると、王は床の上に倒れて死んでいた。

²⁶エフデは、待従たちが手間取っている間に逃れて、石切り場の所を通り過ぎ、セイラに逃れた。

²⁷エフデがエフライムの山地へ行って、角笛を吹き鳴らすと、イスラエルの民は、彼と一緒に山を下った。

²⁸エフデは彼らに言った。「私に続きなさい。主はモアブを、すでに私たちの手に渡してくださった。」そこで、彼らはエフデに続いて行き、モアブに通じるヨルダン川の渡し場を押えて、だれ一人通ることができないようにした。

²⁹この戦いで、彼らは、一万人のモアブ人を殺した。彼らは皆屈強の勇士たちであったが、一人も助からなかった。

³⁰こうして、モアブはその日イスラエルによって征服され、イスラエルの民は、八十年間平和であった。

³¹エフデの後、アナテの子シャムガルが士師として立てられ、牛の突き棒で、一ぺんに六百人のペリシテ人を打ち殺した。こうして、彼もまたイスラエルの民を救った。