Read 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 ルツ記 1 Bible Online

ルツ記 1 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

ルツ記 1

¹士師がイスラエルの民を指導していた時、カナンの地に大ききんがあった。そのため、ユダのベツレヘムの人が妻と二人の息子と一緒に、モアブの地に移住した。

²彼の名前はエリメレクと言い、妻の名前はナオミと言い、二人の息子の名前は、マフロンとキルヨンと言った。彼らは、ユダのベツレヘム出身の人たちであった。彼らがモアブの地に移住してから、

³ナオミの夫エリメレクは死に、彼女と二人の息子が後に残された。

⁴二人の息子は、それぞれモアブ人と結婚した。彼女たちの名前は、オルパとルツと言った。彼らは、その地に約十年間住んでいた。

⁵ところが、マフロンもキルヨンも死に、後には女だけが三人残ってしまった。

⁶そこで、ナオミは二人の嫁を連れて、カナンの地に帰ることにした。というのは、カナンの地は主の恵みによって、豊作になったことを伝え聞いたからである。

⁷ナオミはいよいよ三人で帰途に着いた。

⁸ところが、ナオミは二人の嫁にこう言い聞かせた。「私と一緒に慣れない所へ行くよりも、実家へお帰りなさい。私たちに今まで尽してくれたのをご存じの主は、きっと再婚の道を備えてくださると思いますよ。

⁹そのように主にお祈りしています。」こう言うと、ナオミは二人に口付けしたので、二人の嫁は声を上げて泣いた。

¹⁰「お母さん。私たちはお母さんとご一緒に参ります。」

¹¹けれども、ナオミはなおも言い続けた。「お帰りなさい。私と一緒に行ったところで、一体何になるのですか。

¹²お帰りなさい。私が再婚して、今夜にでもみごもって息子を産んだとしても、

¹³その息子が一人前になるまで待つことなどできるものではありません。子供のいない未亡人のままでいつまでもいるつもりですか。どうか私を苦しめないでおくれ。あなたがたがこのままいたのでは、私が主から責められる思いで苦しいのです。」

¹⁴ところが、二人の嫁は、声を上げて泣き、オルパはナオミに別れの口付けをしたが、ルツはナオミにすがり付いて離れようとしなかった。

¹⁵ナオミはルツに言った。「オルパは自分の実家へ帰って行きました。あなたもそうしなさい。」

¹⁶けれども、ルツは、はっきりとこう言った。「どうぞ帰れとはおっしゃらないでください。お母さんと一緒に行かせてください。私は確かに異邦人でした。しかし、マフロンと結婚した以上、私もまたイスラエルの民の一人となりました。イスラエルの神様は私の神様です。

¹⁷お母さん。どうかご一緒に行かせて、いつも一緒に暮させてください。もしお母さんのおそばから離れるようなことがあったら、神様がどんなに罰してくださっても結構です。」

¹⁸ナオミは、ルツが自分と一緒に行こうと、堅く意を決していることを知ると、もう何も言わなかった。

¹⁹こうして、二人はベツレヘムに帰って来た。彼女たちがベツレヘムに帰って来ると、町中の話題は二人のことで一杯になった。女たちは、「まあ、ナオミじゃないの」と言ったりした。

²⁰ナオミはそう言う人たちに、こう言った。「どうかもうナオミなんて呼ばないで。全能の神様が私をひどい苦しみに遭わせられたので、マラと呼んでください。

²¹あんなに沢山の物を持って、ここから出て行ったはずなのに、帰って来た時は無一物になりました。ですから、もうナオミなどと呼ばないでください。主が私をこんな目に遭わせられたのですもの。」

²²こうして、ナオミは嫁のモアブの女ルツと一緒に、モアブの地から帰って来て、大麦の刈り入れの始まったころ、ベツレヘムに着いた。