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サムエル記1 15 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

サムエル記1 15

¹サムエルはサウルに言った。「主は私をお遣わしになって、あなたに油を注ぎ、イスラエルの王とされました。主が仰せになることをお聞きください。

²天地万物の主はこう仰せられる。『わたしは、イスラエルの民がエジプトを出て、ここへ来る途中、アマレク人がイスラエル人にしたことを覚えている。必ず彼らを罰する。

³だから、今、行って、アマレク人を攻撃し、絶滅してしまいなさい。手心を加えてはならない。人も家畜も皆殺しにしなさい。』」

⁴そこで、サウルは軍隊を召集した。テライムでその数を調べると、歩兵二十万人で、それにユダの兵一万人が加わった。

⁵サウルはアマレク人の町へ行き、谷に兵を伏せていた。

⁶サウルはケニ人に使いを送り、こう言わせた。「あなたがたに危害を加える意志は全く無い。ただし、一緒にいると、間違える恐れがあるので、アマレク人の中から出て行きなさい。あなたがたは、われわれがエジプトから出て、ここへ来る途中、われわれに親切にしてくれました。われわれは今でもそれを覚えています。」それを聞くと、ケニ人はアマレク人の中から出て行った。

⁷サウルは、ハビラから、エジプトの東にあるシュルに至る道で、アマレク人を攻撃し、

⁸その王アガグを捕虜にし、その民を絶滅してしまった。

⁹しかし、彼らは、アガグを生かしたままにしておいたほか、羊や牛や子羊の最上のものは生かしたままにして、余り値打の無いものだけを絶滅したに過ぎなかった。

¹⁰その時、主はサムエルに仰せられた。

¹¹「わたしはサウルを王にしたことで心を痛めている。サウルはわたしに背を向け、わたしの言うことに従わなかった。」それを聞くと、サムエルは深く嘆き、夜通し主に祈り続けた。

¹²翌朝早く、サムエルがサウルに会いに行こうとしていると、そこへ一人の人が来て、こう言った。「サウル王はカルメル山に登って、そこに自分の記念碑を建て、それからギルガルへ帰って行きました。」

¹³サムエルがサウルの所に行くと、「主の祝福がありますように」とサウルはあいさつをしてから、「私は主の仰せられた通りにいたしました」と、上きげんであった。

¹⁴すかさずサムエルは言った。「それでは、あの羊や牛の鳴き声は何ですかな。」

¹⁵サウルは弁明した。「アマレク人の所から連れて来たものです。羊と牛の最上のものは、主である神様にいけにえとしてささげるために取っておきました。そのほかのものは絶滅しました。」

¹⁶サムエルはそれをさえぎった。「弁解はもうよろしい。昨夜、主が私に仰せになったことをお話しましょう。」サウルは、「どうぞ」と言って、神妙になった。

¹⁷サムエルはおもむろに語り出した。「ご自分では取るに足りない小さな者であると思っておられたのに、主はあなたに油を注いで、王として立てられました。

¹⁸主は、『罪を犯したアマレク人を絶滅せよ』と仰せられたのではありませんか。

¹⁹それなのに、どうして主の仰せられる通りにせず、分捕物の中から自分たちの物を取り、主に対して罪を犯したのですか。」

²⁰サウルは弁解した。「いや、私は主の仰せられたことを行いました。アマレク人のアガグ王だけは生かしておきましたが、後は絶滅しました。

²¹あの羊と牛は、ギルガルで主である神様にささげるいけにえとして、その最上のものを取っておいたのです。」

²²サムエルは厳かに語った。「いくら、いけにえをささげても、主はそんなものを喜ばれるのではない。主に従うことは、いけにえよりはるかに優れており、主の御声に聞くことは、雄羊の脂肪をささげるよりはるかに優れている。

²³主に背くことは、占の罪と同じで、主に従わないことは、偶像礼拝と同じだ。あなたは主の御言葉を無視したので、主もあなたを王座から取り除かれる。」

²⁴サウルはサムエルの前に自分の罪を認めた。「私は確かに罪を犯しました。主が仰せられた通りにしませんでした。民を恐れて、民の声に従ったのです。

²⁵どうか私の罪を赦し、私と一緒に主を礼拝しに行ってくださらないでしょうか。」

²⁶「いいえ」と、サムエルは言った。「私は一緒には参りません。あなたが主の御言葉を無視したので、主は、もうあなたを王座から取り除かれたからです。」

²⁷サムエルが帰ろうとすると、サウルはサムエルに取りすがり、その服をつかんだので、その時、サムエルの上着は破れてしまった。

²⁸サムエルはそれを実物教育として、こう預言した。「主は、この服のように、イスラエルの王国を分裂させられる。あなたの王国は、さらに御心にかなった人に与えられた。

²⁹イスラエルの栄光そのものである神様は、決して偽ったり、心変りをされることはない。」

³⁰サウルはなおも食い下がった。「私は確かに罪を犯しました。しかし、どうかイスラエルの長老と国民の前で私の面目を立ててください。そして、どうぞ私と一緒に主を礼拝しに行ってください。お願いします。」

³¹それで、サムエルはサウルと一緒に行き、サウルは主を礼拝した。

³²それからサムエルは言った。「アマレクのアガグ王を私の所に連れて来なさい。」アガグは、「死の苦しみは免れるだろう」と思い、喜んでサムエルの所へやって来た。

³³サムエルはアガグに言った。「その手で、多くの人を殺したように、今お前も殺される。」こうして、サムエルはギルガルで、主の前にアガグを切り殺した。

³⁴サムエルはラマに帰り、サウルはギブアの自宅に帰って行った。

³⁵サムエルは死ぬまで、二度とサウルに会わなかった。しかし、サムエルはサウルのことをいつも心に掛けて悲しんでいた。主もサウルをイスラエルの王にしたことで、心を痛められた。