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サムエル記1 19 - 現代訳聖書, Modern Japanese Bible, 1983 bible

サムエル記1 19

¹サウルは、ダビデを殺そうとしていることを、息子のヨナタンを始め、家来たちにも宣言した。しかし、ヨナタンはダビデをこよなく愛していたので、

²ダビデにそのことを話した。「父は、君を殺そうとしている。それで、明日の朝は、気を付けて、野原のどこかに、身を隠していてくれ。

³私は父をそこに連れ出し、君のことについて父に話そうと思う。何か分ったら、すぐ君に知らせることにする。」

⁴ヨナタンは父サウルにダビデのことを話した。「王様。どうかあの忠実なダビデを殺すようなことはやめてください。ダビデは王様を少しも憎んではいません。それどころか、彼はいつも王様のためを思ってしています。

⁵ダビデが命懸けでペリシテ軍を打ち破ったので、主は大勝利をイスラエルに与えてくださいました。王様はそれを見て喜んだではありませんか。どうしてあの立派なダビデを殺して、罪を犯されるのですか。」

⁶サウルはヨナタンの誠実味あふれる言葉を聞いて納得し、誓った。「生きておられる主に誓って、ダビデを殺しはしない。」

⁷それで、ヨナタンはダビデを呼び、事のすべてを話した。ヨナタンがダビデをサウルの所に連れて行ったので、ダビデは以前のように、サウルのそばにいて、サウルに仕えるようになった。

⁸それから、また戦いが始まったが、ダビデは出て行ってペリシテ軍を破り、大勝利を得た。

⁹するとその時、主は悪霊がサウル王に取り付くのを許された。サウルは王宮の一室に座っており、手に槍を持っていた。ダビデはそばで琴を弾いていた。

¹⁰悪霊に取り付かれたサウルは、ダビデを殺そうとして槍を投げたが、ダビデは身をかわしたので、その槍は壁に突き刺さり、ダビデは難を逃れた。

¹¹サウルはダビデの家に兵隊を送って、見張らせ、朝になってから、彼を殺させようとした。それを知った妻のミカルは、ダビデに、「今夜逃げてくださらなければ、朝になったら、殺されてしまいます」と言って、

¹²ダビデを窓からつり下ろした。こうして、今度も難を逃れることができた。

¹³ミカルは偶像のテラフィムに服を着せて、寝床の中に入れ、山羊の毛で編んだものを枕に載せ、病人のように見せ掛けた。

¹⁴サウルがダビデを捕えようとして兵隊を差し向けると、ミカルは、「主人は病気で寝ています」と答えた。

¹⁵サウルはそれを聞くと、「寝床のままここに連れて来い。ここで殺してしまうのだ」と命令を下した。

¹⁶兵隊がダビデの家に来て、その部屋に入って見ると、なんとテラフィムがそこに入れられてあった。

¹⁷それを聞いたサウルは、ミカルを責めた。「なぜこんなことまでして余をだまし、あいつを逃がしたのか。」すると、ミカルはサウルに答えた。「あの人は、『私を逃がしてくれ。さもないと、お前を殺す』と言ったのです。」

¹⁸ダビデはラマのサムエルの所に逃げて行き、サウルが自分にしたことを何もかもサムエルに話した。そして、サムエルと一緒にナヨテに行って住んだ。

¹⁹ところが、「ダビデはラマのナヨテにおります」と告げる者があったので、

²⁰サウルはまたダビデを捕えるために、兵隊を差し向けた。彼らがナヨテの町に来ると、預言者の一団が預言をしており、サムエルがその指導者としてそこにいた。彼らがその様子を見ていると、神の御霊が彼らの上にも降り、彼らも預言を始めた。

²¹サウルにこのことが報告されると、彼はほかの兵隊を遣わしたが、彼らもまた預言をし始めた。三度目に遣わされた者たちも同様であった。

²²そこで、サウル自身がラマヘやって来た。彼がセクにある大きな井戸の所まで来た時、「サムエルとダビデはどこにいるか」と言って尋ねた。「ラマのナヨテにいます」と答えると、

²³サウルはそこからラマのナヨテへ行ったが、彼にも神の御霊が降り、預言をしながら、ラマのナヨテにやって来た。

²⁴サウルは王服を脱ぎ、サムエルの前で一昼夜の間預言をし、そのまま倒れてしまった。そのために、「サウル王も預言者の一人なのだろうか」と言われるようになった。